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ホルマリン固定組織標本の凍結切片作製法の検討
著者: 大森康旨1 森地久子1 守安岳征1 西村知己1 雑賀興慶1
所属機関: 1大津赤十字病院病理部
ページ範囲:P.626 - P.626
文献購入ページに移動通常,病理検査ではホルマリン固定組織標本が使用されている.ヘマトキシリン-エオジン(hematoxylin-eosin,HE)染色,特殊染色をはじめ,今日では免疫染色でさえホルマリン固定後,パラフィン包埋処理された組織で実施されている.しかしなお,脂肪染色はパラフィン包埋後の標本では作製不可能であり,生組織あるいはホルマリン固定組織からの凍結切片が使用される.ホルマリン固定された組織からの凍結切片作製は困難であり,これまでは,①高張蔗糖液で約24時間浸透(4°C),②電子レンジと圧力釜を用いる,などの方法が実施されてきた.その基本的な考え方は,いずれも組織からホルマリン固定液を除去し,包埋剤を組織に均等に浸透させることである.
今回われわれはこのような考え方に基づき,ホルマリン固定組織を前処理することなく直接包埋剤に入れ,陰圧・陽圧を繰り返し加える操作を行ったところ,ホルマリン固定組織からの凍結切片作製を可能にすることができた.
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