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文献詳細

雑誌文献

検査と技術36巻7号

2008年07月発行

Laboratory Practice 〈一般●精度管理・2〉

便検査(潜血)の精度管理

著者: 岡田茂治1 小池真由美1 澁澤幸枝1 西田俊朗1

所属機関: 1埼玉県立循環器・呼吸器病センター検査技術部

ページ範囲:P.648 - P.652

文献概要

はじめに

 日常使用されている便潜血検査とは,化学法,免疫法いずれにも使用されている便中ヘモグロビン検査の呼称である.しかし両法は測定原理,測定精度,検査対象などにおいて大きく異なり,本来別名で称する必要がある.本稿では化学法を原理とするテトラメチルベンジジン法,グアヤック法などを便潜血化学法,抗ヒトヘモグロビン抗体を用いた免疫学的検査法を便ヘモグロビン検査法(以下,便Hb検査)とする.

 便潜血化学法と便Hb検査は他の臨床検査項目のように十分な日常精度管理,コントロールサーベイが行われておらず,標準化も進んでいない.大腸がん検診で実施されている便Hb検査は,非侵襲で多検体処理に適するコストパフォーマンスに優れた1次スクリーニング検査として実施され,精査検査(全大腸内視鏡検査など)への重要な振り分け検査となる.しかも,便Hb検査の大腸がんに対する検査診断精度はがん発見率に大きく影響する.つまり,便Hb検査は大腸がん検診システム全体の有用性を大きく左右する重要な役割を担っており,社会的責任の大きな検査である.本稿では改めて便Hb検査における日常精度管理法実施の必要性を考えたい.

参考文献

1) 厚生労働省:検体検査の精度管理等に関する委員会報告書(概要).1997 厚生労働省ホームページ http://www1.mhlw.go.jp/houdou/0906/h0627-5.html
2) 鈴木智子,岡田茂治,山本英俊,他:埼玉県における便ヘモグロビン検査のアンケート調査解析 平成9年と14年における精度管理実施状況の経年変化.埼臨技会誌 50:232-239,2004
3) 岡田茂治,山本英俊:便ヘモグロビン検査,埼玉県・埼玉県医師会精度管理事業報告書,平成11年度~平成19年度.
4) 飯塚儀明,桑克彦:精度管理図の書き方.検査と技術 35:641-646,2007
5) 岡田茂治,野津聡:一線診療のための臨床検査 各論検査編 便検査 潜血検査.検査と技術 33:1321-1322,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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