文献詳細
文献概要
けんさ質問箱
ホルマリンの取り扱いについて
著者: 谷山清己12
所属機関: 1国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター 臨床研究部 2日本病理学会
ページ範囲:P.671 - P.673
文献購入ページに移動2008年3月からホルマリンの取り扱いが厳しくなったようです.病理のルーチンにおいてどのくらいまで許容されるのでしょうか(作業時には当然ホルマリン臭は強くなるのですが).また,取り扱い上さらに気をつけなくてはいけないことは何でしょうか.(岐阜市 A.K.生)
A.谷山清己
はじめに
病理診断・検査では,ホルムアルデヒド(formaldehyde,FA)を約4~8%含む水溶液(10~20%ホルマリン液)を通常の組織固定に用いています.FAは標本作製,病理診断に欠かせない化学物質です.近年,FAのさまざまな有害性が指摘されています.高濃度長期曝露により鼻咽頭癌を発生させる発がん性物質であることが,世界保健機関(World Health Organization,WHO)により2004年に報告されました.また,慢性曝露による生殖毒性,胎盤通過性による胎児への影響,感作による喘息・アトピー性皮膚炎・接触性皮膚炎の発症などに加えて,FA曝露による気道粘膜の細胞変性,炎症,過形成,扁平上皮化生などの組織学的変化についても報告があります.さらに,FAはシックハウス症候群などの化学物質過敏症の原因物質の一つとされ,住環境においては厳しく管理されています.
参考文献
掲載誌情報