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文献詳細

雑誌文献

検査と技術36巻7号

2008年07月発行

文献概要

けんさ質問箱

ホルマリンの取り扱いについて

著者: 谷山清己12

所属機関: 1国立病院機構呉医療センター・中国がんセンター 臨床研究部 2日本病理学会

ページ範囲:P.671 - P.673

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Q.ホルマリンの取り扱いについて

2008年3月からホルマリンの取り扱いが厳しくなったようです.病理のルーチンにおいてどのくらいまで許容されるのでしょうか(作業時には当然ホルマリン臭は強くなるのですが).また,取り扱い上さらに気をつけなくてはいけないことは何でしょうか.(岐阜市 A.K.生)

 

A.谷山清己

はじめに

 病理診断・検査では,ホルムアルデヒド(formaldehyde,FA)を約4~8%含む水溶液(10~20%ホルマリン液)を通常の組織固定に用いています.FAは標本作製,病理診断に欠かせない化学物質です.近年,FAのさまざまな有害性が指摘されています.高濃度長期曝露により鼻咽頭癌を発生させる発がん性物質であることが,世界保健機関(World Health Organization,WHO)により2004年に報告されました.また,慢性曝露による生殖毒性,胎盤通過性による胎児への影響,感作による喘息・アトピー性皮膚炎・接触性皮膚炎の発症などに加えて,FA曝露による気道粘膜の細胞変性,炎症,過形成,扁平上皮化生などの組織学的変化についても報告があります.さらに,FAはシックハウス症候群などの化学物質過敏症の原因物質の一つとされ,住環境においては厳しく管理されています.

参考文献

1) 谷山清己,清水秀樹,根本則道:ホルムアルデヒドの健康障害防止について―病理部門を中心とした具体的対応策.病理学会ホームページ(http://jsp.umin.ac.jp/committee/formaldehyde00 080225.html),2008
2) 土屋眞知子,金森雅夫:試験・研究・分析室における有害物の作業環境管理について.病理技術 65:24-27,2002
3) 厚生労働省:平成19年12月の特定化学物質障害予防規則等の改正(ホルムアルデヒド,1,3-ブタジエン,硫酸ジエチル).厚生労働省ホームページ(http://www.mhlw.go.jp/bunya/roudoukijun/anzeneisei17/index.html)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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