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文献詳細

雑誌文献

検査と技術36巻7号

2008年07月発行

文献概要

トピックス

たこつぼ型心筋症

著者: 伊藤大起1 森野禎浩1

所属機関: 1東海大学医学部内科系循環器内科

ページ範囲:P.675 - P.677

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概念,定義

 たこつぼ型心筋症はわが国で命名された心尖部を中心とした一過性の収縮障害であり,1990年に佐藤ら1)によって「急性心筋梗塞に類似した胸痛と心電図変化を有しながら,それに伴う左心室の壁運動異常が一つの冠動脈の支配領域を超えて心尖部を中心とした広範囲に及び,左室造影において“ツボ型”を呈するが,その左心室の壁運動異常は1~2週間でほぼ完全に正常化し,かつ冠動脈造影には有意の狭窄を認めない」と報告された.

 成因としては冠動脈の多枝攣縮や微小循環障害,またカテコラミン心筋症などが挙げられているが,そのすべてに矛盾点も多く,いまだ明らかとされていないのが現状である.背景として疾病罹患時も含めた精神的,身体的ストレスに曝露されていることが多く,ストレス心筋障害(stress cardiomyopathy)などと表現されることもある.諸外国では“Takotsubo”の名から病態を連想しにくく,本症の形態学的異常から“apical ballooning”と称されることが多い.筆者らはたこつぼ型心筋症と診断された症例から,類似の病態を惹起しうる脳血管障害,褐色細胞腫,ウイルス性もしくは特発性心筋炎などを2007年発表のガイドラインに基づいて除外し,連続45例において患者背景,症状や各種検査結果などにつき後ろ向きに調査した.この集積をもとに,たこつぼ型心筋症の臨床像を中心に以下に述べる.

参考文献

1) 佐藤光,立石博信,内田俊明,他:多枝spasmにより特異な左室造影ツボ型を示したstunned myocardium.児玉和久,土師一夫,堀正二(編):臨床からみた心筋細胞障害―虚血から心不全まで.科学評論社,東京,pp56-64,1990
2) Kawai S, Kitabatake A, Tomoike H, et alu:uGuidelines for diagnosis of takotsubo (ampulla) cardiomyopathy. Circ J 71:990-992,2007
3) Kawano H, Motoyama T, Ohgushi M, et alu:uMenstrual cyclic variation of myocardial ischemia in premenopausal women with variant angina. Ann Intern Med 135:977-981,2001
4) Lee JC, Sponenberg DPu:uRole of alpha 1-adrenoceptors in norepinephrine-induced cardiomyopathy. Am J Pathol 121:316-321,1985

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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