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文献概要
Laboratory Practice 〈微生物●内部精度管理・1〉
塗抹検査の内部精度管理
著者: 中村文子1
所属機関: 1順天堂大学医学部附属順天堂医院臨床検査部
ページ範囲:P.827 - P.832
文献購入ページに移動はじめに
塗抹検査の有用性については今や語るまでもなく,迅速かつ的確な感染症診断に欠かすことのできない検査法である.近年,POCT(point-of-care testing)や遺伝子解析技術を駆使した起因微生物検出法1)が導入されているが,塗抹検査ほど安価で簡便なうえ,広範囲の微生物を識別できる検査法はない2,3).
塗抹検査の欠点を唯一挙げるとすれば,「経験と熟練を要す」ことであろう.①検査材料の品質,②塗抹標本の作製,③染色,④標本観察の一連の作業は,いずれも成績を左右する要因となる.したがって,感染症診断を担う検査室ではこれらが正しく実施されているか,技術的エラーはないかを日頃からチェックする体制を整えておかねばならない.
本稿では,主にグラム染色標本について,臨床へ有用な塗抹検査報告をするために必要な内部精度管理のあり方を解説する.
塗抹検査の有用性については今や語るまでもなく,迅速かつ的確な感染症診断に欠かすことのできない検査法である.近年,POCT(point-of-care testing)や遺伝子解析技術を駆使した起因微生物検出法1)が導入されているが,塗抹検査ほど安価で簡便なうえ,広範囲の微生物を識別できる検査法はない2,3).
塗抹検査の欠点を唯一挙げるとすれば,「経験と熟練を要す」ことであろう.①検査材料の品質,②塗抹標本の作製,③染色,④標本観察の一連の作業は,いずれも成績を左右する要因となる.したがって,感染症診断を担う検査室ではこれらが正しく実施されているか,技術的エラーはないかを日頃からチェックする体制を整えておかねばならない.
本稿では,主にグラム染色標本について,臨床へ有用な塗抹検査報告をするために必要な内部精度管理のあり方を解説する.
参考文献
1) 小栗豊子(編):感染症診断の迅速化をめざして.臨床と微生物 34(増),2007
2) 永田邦昭:感染症診断に役立つグラム染色.日水製薬(東京),2006
3) 小栗豊子:患者検体のグラム染色.臨床と微生物 22:635-642,1995
4) York MK:Staining procedures. Isenburg HD (ed):Clinical Microbiology Procedures Handbook, vol.2. American Society for Microbiology, Washington DC,pp3.2.1.1-3.2.1.23,2002
5) 小栗豊子:感染症の迅速検査としての塗抹検査.小栗豊子(編):臨床微生物検査ハンドブック,第2版,三輪書店,pp7-18,2005
6) Geckler RW, Gremillion DH, McAllister CK, et al:Microscopic and bacteriological comparison of paired sputa and transtracheal aspirates. J Clin Microbiol 6:396-399,1977
7) York MK:Paratechnical processing of specimens for aerobic bacteriology. Isenburg HD (ed):Clinical Microbiology Procedures Handbook, vol.2, American Society for Microbiology, Washington DC,pp3.3.1.1-3.3.2.14,2002
8) Kruczak-Filipov P:Gram stain procedure. Isenburg HD (ed):Clinical Microbiology Procedures Handbook, vol.1, American Society for Microbiology, Washington DC,pp1.5.1-1.5.18,1992
9) 大木まゆみ,小栗豊子:塗抹検査 ミラステイナーの運用.臨床と微生物 33:80-83,2006
10) 永沢善三,正木孝幸,永田邦昭,他:グラム染色の観察方法および報告の統一化,医学検査 56:1459-1501,2007
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