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雑誌文献

検査と技術36巻9号

2008年09月発行

文献概要

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ベンス-ジョーンズ蛋白の検出とその意義

著者: 島田舞1 大竹皓子1

所属機関: 1慶應義塾大学病院中央臨床検査部

ページ範囲:P.854 - P.857

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[ベンス-ジョーンズ蛋白の発見]

 ベンス-ジョーンズ蛋白(Bence Jones protein,BJP)が骨髄腫患者の尿中に高頻度に検出される単クローン性(monoclonal,M)の免疫グロブリン(immunoglobulin,Ig)の軽鎖(light chain,L鎖)であることは周知のことであるが,BJPに関する歴史を遡ってみると,その発見は1844年に始まる.

 イギリスの医師William Macintyreが胸痛の患者の尿が高比重で異常であることに気付き,この尿をロンドンの法医学者Dr. Henry Bence Jonesに送り解析を依頼した.Dr. Henry Bence Jonesは異常成分の化学的な分析を執拗に行い,1845年にこの成分がアルブミン様の物質であること,異なったpHと温度で奇妙な熱凝固性を示すことを見いだした.その尿は弱酸性条件下の40~58℃の範囲で沈降反応を示し,さらに温度を上げ煮沸すると沈降物は溶解し,これを冷却すると再び沈降物を生じることを報告した.この異常成分は彼の個人名をとってBJPと命名されたが,その後,Macintyreは骨の病変部に形質細胞の存在を認め,1850年にベンス-ジョーンズ型骨髄腫として発表した.

参考文献

1) 磯部敬:免疫異常と腫瘍の接点.医薬ジャーナル社,1998
2) 石田寅夫:ノーベル賞からみた免疫学入門.化学同人,2002
3) 金井正光(編):臨床検査法提要 改訂第32版.金原出版,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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