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文献詳細

雑誌文献

検査と技術37巻10号

2009年09月発行

文献概要

増刊号 顕微鏡検査のコツ―臨床に役立つ形態学 II 微生物検査 総論 2 染色法の原理と特徴

3 抗酸染色

著者: 宮部安規子1 渡邊正治1 野村文夫12

所属機関: 1千葉大学医学部附属病院検査部 2千葉大学大学院医学研究院分子病態解析学

ページ範囲:P.904 - P.906

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はじめに

 抗酸菌はグラム染色で染色すると一様には染まらず,数か所が顆粒状に染まったりガラス状にみえる.これは抗酸菌の細胞壁は脂質含有量が多いため,染色色素の通過が容易でないためである.染色するには媒染剤を加えたり染色液を加温する必要がある.しかし,いったん染められた菌は脱色作用のある酸やアルコールでも脱色されにくい.これを抗酸性(acid-fastness)という.

 抗酸菌の染色には,一般的に蛍光染色法と石炭酸フクシン法がある.蛍光染色法は,蛍光色素であるオーラミンOやアクリジンオレンジなどで染色し,励起光を照射することにより発生する二次蛍光を蛍光顕微鏡で観察する.一方,石炭酸フクシン法は,媒染剤として用いられている石炭酸が脂質を溶解し,加温もしくは高濃度にすることで塩基性フクシン液が菌体と結合し染色される.

 蛍光染色法が200倍で30視野鏡検し判定するのに対し,石炭酸フクシン法は1,000倍油浸で300視野鏡検しなければならない.そのため蛍光染色法のほうがより簡便で迅速に判定することができる.しかし抗酸菌以外にも蛍光を発するものがあり偽陽性が生じやすい.200倍拡大で1視野に1個以下の場合はチール・ネールゼン法で確認する必要がある.その際,蛍光染色標本をチール・ネールゼン染色できるので,陽性の場所を記載しておくと確認が容易である.

参考文献

1) 日本結核病学会 抗酸菌検査法検討委員会:結核菌検査指針2007.結核予防会:21-30,2007
2) Smithwick RW, Bigbie MR Jr, Ferguson RB, et al:Phenolic acridine orange fluorescent stain for mycobacteria. J Clin Microbiol33:2763-2764,1995
3) 平野和重,浜崎園望,青野昭男,他:アクリジンオレンジ抗酸菌蛍光染色液,アクリステインの評価.臨床と微生物30:201-205,2003
4) 樋口武史:抗酸菌染色 石炭酸フクシン染色法,蛍光染色法,アクリジンオレンジを用いた新しい染色法.臨床と微生物31:505-509,2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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