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文献詳細

雑誌文献

検査と技術37巻10号

2009年09月発行

文献概要

増刊号 顕微鏡検査のコツ―臨床に役立つ形態学 II 微生物検査 各論 1 感染症と顕微鏡検査の所見

4 中枢神経感染症

著者: 静野健一1 郡美夫1

所属機関: 1千葉市立海浜病院検査科

ページ範囲:P.951 - P.954

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はじめに

 中枢神経感染症には,髄膜炎,脳炎,脳膿瘍などがあり,診断には主に脳脊髄液(以下,髄液)が用いられる.年齢・基礎疾患によっては,臨床症状が一定でなく髄膜刺激症状も認められない場合もあり,禁忌・合併症に注意し,早期に髄液を採取して検査することが大事とされる.髄液検査の禁忌項目としては,①頭蓋内圧の亢進,②穿刺部位の感染,③出血傾向,が挙げられ,また合併症としては,①頭痛,②脊髄根性痛,③外転神経麻痺,④脳ヘルニア,⑤硬膜外血腫,⑥医原性髄膜炎,などが挙げられる1).グラム(Gram)染色などによる髄液の顕微鏡検査は,染色技術,鏡検にある程度の経験が必要とされるが,迅速検査として臨床に貢献することのできる非常に有用な検査である.

 一般的に中枢神経感染症の中で顕微鏡検査が有用となるような症例は,細菌やその他の微生物が原因となる髄膜炎が多いため,本稿ではまず検査の流れについて注意点を確認した後,細菌性髄膜炎,真菌性髄膜炎について解説し,最後に鏡検について述べる.

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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