文献詳細
増刊号 顕微鏡検査のコツ―臨床に役立つ形態学
II 微生物検査 各論 2 抗微生物薬の治療効果の判定
文献概要
1 初期治療における抗菌薬選択に関する従来の検査法の問題点
細菌感染症に対する抗菌薬の選択は,培養検査による分離菌の同定と,感染症の原因菌と推定される分離菌に対する薬剤感受性検査によって行われてきた.しかし培養検査は結果を得るまでに,大腸菌などの速育性細菌でも2~3日を要するため,実際は感受性検査の成績は初期治療の決定には間に合わず,初期治療に用いる抗菌薬は,検査結果ではなく,医師の裁量によって決定されてきた.このため現在の感受性検査法は「初期治療が失敗した場合の保険的検査」として行われているのが実情である.また原因菌と感受性成績が不明なため,医師は初期治療に広域性の抗菌薬を選択せざるを得なかった.培養検査の最大の欠点は時間を要することであるが,培養法の改良による検査時間の短縮はほとんど期待できない状況にある.
細菌感染症に対する抗菌薬の選択は,培養検査による分離菌の同定と,感染症の原因菌と推定される分離菌に対する薬剤感受性検査によって行われてきた.しかし培養検査は結果を得るまでに,大腸菌などの速育性細菌でも2~3日を要するため,実際は感受性検査の成績は初期治療の決定には間に合わず,初期治療に用いる抗菌薬は,検査結果ではなく,医師の裁量によって決定されてきた.このため現在の感受性検査法は「初期治療が失敗した場合の保険的検査」として行われているのが実情である.また原因菌と感受性成績が不明なため,医師は初期治療に広域性の抗菌薬を選択せざるを得なかった.培養検査の最大の欠点は時間を要することであるが,培養法の改良による検査時間の短縮はほとんど期待できない状況にある.
参考文献
1) 菅野治重:集塊菌に対する抗菌剤の殺菌効果.日本化学療法学会雑誌36:691-705,1988
2) 菅野治重:抗菌薬による細菌の形態変化―β-ラクタム系抗菌薬を中心に.検査と技術35:437-442,2007
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