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増刊号 顕微鏡検査のコツ―臨床に役立つ形態学 III 一般検査 総論 1 一般検査に関する形態像観察の基礎
3 穿刺液検査
著者: 稲垣清剛1
所属機関: 1愛知県厚生連安城更生病院臨床検査技術科
ページ範囲:P.996 - P.1000
文献購入ページに移動はじめに
穿刺液中に出現する細胞は,血液細胞はもとより材料独特のものがあり,髄液では髄液腔を形成している脈絡叢細胞やくも膜被覆細胞,軟膜細胞,上衣細胞など,胸・腹水では中皮細胞,関節液にいたっては滑膜細胞などがこれに相当する.一方,異型細胞(一般検査では悪性細胞または悪性を疑う細胞)は特に胸・腹水で高率に出現するため,これらを良性細胞と的確に鑑別する能力が要求される.また,穿刺液中の細胞は浮遊状態で存在しており,その環境下によって程度の差こそあれ絶えず変性を受けている.低浸透圧の髄液では採取後経時的に形態変化が生じるし(図1a),化膿性疾患が関与した穿刺液では,細胞数の増加とともに好中球の壊死を主とした融解像もみられる(図2).
本稿では変性像や互いに類似する細胞,異型細胞などについて,メイ・グリュンワルド・ギムザ(May-Grunwald-Giemsa)染色での形態的基礎知識や鑑別ポイントを述べる.
穿刺液中に出現する細胞は,血液細胞はもとより材料独特のものがあり,髄液では髄液腔を形成している脈絡叢細胞やくも膜被覆細胞,軟膜細胞,上衣細胞など,胸・腹水では中皮細胞,関節液にいたっては滑膜細胞などがこれに相当する.一方,異型細胞(一般検査では悪性細胞または悪性を疑う細胞)は特に胸・腹水で高率に出現するため,これらを良性細胞と的確に鑑別する能力が要求される.また,穿刺液中の細胞は浮遊状態で存在しており,その環境下によって程度の差こそあれ絶えず変性を受けている.低浸透圧の髄液では採取後経時的に形態変化が生じるし(図1a),化膿性疾患が関与した穿刺液では,細胞数の増加とともに好中球の壊死を主とした融解像もみられる(図2).
本稿では変性像や互いに類似する細胞,異型細胞などについて,メイ・グリュンワルド・ギムザ(May-Grunwald-Giemsa)染色での形態的基礎知識や鑑別ポイントを述べる.
参考文献
1) 稲垣清剛:異型細胞を中心とした胸水,腹水,心嚢水の細胞の見方.検査と技術35:343-349,2007
2) 大田喜孝,稲垣清剛,奈良 豊,他:髄液検査法 2002.(社)日本臨床衛生検査技師会,2002
3) 稲垣清剛:ポケットマニュアル―穿刺液細胞.医歯薬出版,2002
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