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文献詳細

雑誌文献

検査と技術37巻10号

2009年09月発行

文献概要

増刊号 顕微鏡検査のコツ―臨床に役立つ形態学 III 一般検査 総論 2 顕微鏡標本の作製法

1 尿沈渣

著者: 油野友二1

所属機関: 1金沢赤十字病院検査部

ページ範囲:P.1001 - P.1005

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1 沈渣標本作製の目的と作製技術の重要性

 尿沈渣検査は,有形尿中の成分である上皮細胞類,血球類,円柱類,結晶・塩類,細菌類についてそれぞれ正確に分類し,定量的な計数値を求める検査である.では,その尿沈渣検査の臨床的意義は何かといえば,第1に腎尿路系に病変があるかどうかのスクリーニング,第2に既に確認された腎尿路系の病変に対する治療効果の観察や薬剤の副作用の状況についての情報収集の2点にあると考える.しかし,この2点は決して尿沈渣検査のみに求められていることではなく,尿蛋白,尿潜血反応に代表される尿定性検査も同様の目的のために実施される.つまり,尿沈渣検査は定性試験結果により推定される血尿や尿路感染症の確定に重要な情報であり,各種円柱や卵円形脂肪体などの出現によって腎炎などの病態把握の補助情報の提供と位置づけられよう.

 近年,血尿診断ガイドライン1)の策定により,血尿の定義が明確に示された.これにより,顕微鏡的血尿においては潜血反応陽性で尿沈渣検査による赤血球数5個/HPF以上で血尿とされることから,より再現性・正確性など精度の高い検査が求められている.標本作製技術は,まさにこの精度保証に直結したポイントである.また,色調や混濁など標本作製過程で極めて有用な情報が得られることがあり,よく尿沈渣検査の目的を理解したうえでの業務が肝要である.

参考文献

1) 血尿診断ガイドライン検討委員会:血尿診断ガイドライン.日本腎臓学会誌48(Suppl):1-34,2006
2) (社)日本臨床衛生検査技師会(編):尿沈渣検査法2000.日本臨床衛生検査技師会,2000
3) 日本化学療法学会臨床評価法制定委員会:UTI薬効評価基準,第4版暫定案.日本化学療法学会雑誌45:203-247,1996
4) 伊藤機一(監),野崎 司,高橋二美子,布施川久恵,他:尿沈渣ガイドブック.東海大学出版会,2000
5) 伊藤機一(監),八木靖二,都竹正文:尿中細胞アトラス,第2版.医歯薬出版,1998

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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