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文献詳細

雑誌文献

検査と技術37巻10号

2009年09月発行

文献概要

増刊号 顕微鏡検査のコツ―臨床に役立つ形態学 III 一般検査 各論

2 糞便

著者: 福富裕之1

所属機関: 1(株)昭和メディカルサイエンス検査部

ページ範囲:P.1034 - P.1037

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はじめに

 糞便は私たちが毎日摂取する食物の消化状況を反映しているため,これを形態学的に検査することは消化器疾患や代謝疾患の状態を知るうえで極めて重要である.また,尿検査と同様に採取時に患者に対して傷みなどの負担がほとんどないことから,繰り返しの検査が容易であるにもかかわらず,実際には寄生虫や細菌検査以外では糞便顕微鏡検査の頻度はあまり高くない.正常な糞便の成分の多くは消化吸収されなかった食物残渣であり(図1),顕微鏡検査時に観察される有形成分のすべてを形態的に分類することは困難を極めるが,基本的成分は認識しておく必要がある(表1).何らかの疾患が疑われる場合には,多量の未消化食物,血液,膿汁,粘液,上皮細胞,寄生虫や原虫,病原性細菌などが検出される.また,形状や色調などの肉眼的な外観観察も怠ってはならない(表2).糞便の外観観察には必要に応じて実体顕微鏡を使用するとよい.糞便は放置すると乾燥,腐敗,発酵などにより外観が変化するので,できる限り速やかに検査を実施するのが望ましい(図2).

 以下に各疾患別に対しての鑑別点を述べる.

参考文献

1) 金井正光:臨床検査法提要,第32版.金原出版,pp224-231,2005
2) 星 和夫,鈴木敏恵:臨床検査学講座―臨床検査総論.医歯薬出版,pp121-132,2004
3) 伊藤武雄(監修),小橋隆一郎,池田忠子,東 克己:一般臨床検査.朝倉書店,pp55-66,1992

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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