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文献詳細

雑誌文献

検査と技術37巻10号

2009年09月発行

文献概要

増刊号 顕微鏡検査のコツ―臨床に役立つ形態学 III 一般検査 各論

3 髄液

著者: 伊瀬恵子1 澤部祐司1 野村文夫2

所属機関: 1千葉大学医学部附属病院検査部 2千葉大学大学院医学研究院分子病態解析学

ページ範囲:P.1038 - P.1041

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はじめに

 髄液検査は中枢神経系疾患の診断に必須の検査である1~4).髄膜炎や脳炎の診断には細胞数の算定が重要であり,単核球と多核球の比率から髄膜炎の種類が推察される.しかし,通常の計算盤法では細胞形態を観察することには限界があるため,細胞塗抹標本を作製することが必要である2,3,5).細胞を詳細に観察することで血液細胞系腫瘍や上皮細胞系腫瘍などが検出されることがある.

 正常人の細胞数は5/μl以下で,リンパ球が優位である.腫瘍性細胞を検出する場合は,①N/C比の増大,②細胞の大小不同,③核形不整,④核小体の明瞭化と数の増大,⑤核のクロマチン構造の粗大化などの特徴を念頭に置いて鏡検することが必要である.

参考文献

1) 日本臨床衛生検査技師会(編):髄液検査法2002.日本臨床衛生検査技師会,2002
2) 稲垣清剛:髄液細胞の一般検査.検査と技術16:1453-1460,1988
3) 大田喜孝:髄液細胞診でわかる中枢神経系の病態.臨床病理レビュー140:72-77,2008
4) 稲垣清剛:ポケットマニュアル穿刺液細胞.医歯薬出版,2002
5) 伊瀬恵子:ギムザ染色による髄液細胞の見方.検査と技術35:837-842,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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