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増刊号 顕微鏡検査のコツ―臨床に役立つ形態学 IV 血液像 総論 3 染色法の原理と特徴
2 特殊染色
著者: 常名政弘1 小池由佳子1
所属機関: 1東京大学医学部附属病院検査部
ページ範囲:P.1076 - P.1081
文献購入ページに移動血液細胞の観察を行う基本的な染色法として,普通染色が用いられている.しかし白血病で認められる細胞は判別困難な場合が多く,それらを補う一手段として特殊染色(細胞化学染色)が行われている.それは,細胞内に存在する酵素や糖質,脂質などの非酵素を化学反応によって証明し,細胞を分類することであり,白血病の病型分類,特にFAB(French-American-British)分類には必須の染色方法である.特殊染色には,酵素を証明する染色としてペルオキシダーゼ(peroxidase,POD)染色,エステラーゼ染色,酸性ホスファターゼ染色,アルカリホスファターゼ染色などがある.一方,非酵素を証明する染色法としてズダン染色,PAS(periodic acid-Schiff)染色,鉄染色などがある1).
現在の白血病の病型分類には,上記に示す特殊染色や電子顕微鏡検索,フローサイトメトリーを用いた免疫学的解析,さらには染色体検査,遺伝子検査が用いられている.そのなかで普通染色と特殊染色とを用いたFAB分類は白血病の形態学的診断として非常に重要である.
本稿では,FAB分類で主に利用されているPOD染色,ズダン染色,エステラーゼ染色,PAS染色,また骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome,MDS)の診断に必要な鉄染色,慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia,CML)の鑑別に用いられる好中球アルカリホスファターゼ(neutrophil alkaline phosphatase,NAP)染色の原理と特徴を中心に解説する.なお,実際の染色手技については割愛する.
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