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文献詳細

雑誌文献

検査と技術37巻10号

2009年09月発行

文献概要

増刊号 顕微鏡検査のコツ―臨床に役立つ形態学 IV 血液像 総論 3 染色法の原理と特徴

2 特殊染色

著者: 常名政弘1 小池由佳子1

所属機関: 1東京大学医学部附属病院検査部

ページ範囲:P.1076 - P.1081

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はじめに

 血液細胞の観察を行う基本的な染色法として,普通染色が用いられている.しかし白血病で認められる細胞は判別困難な場合が多く,それらを補う一手段として特殊染色(細胞化学染色)が行われている.それは,細胞内に存在する酵素や糖質,脂質などの非酵素を化学反応によって証明し,細胞を分類することであり,白血病の病型分類,特にFAB(French-American-British)分類には必須の染色方法である.特殊染色には,酵素を証明する染色としてペルオキシダーゼ(peroxidase,POD)染色,エステラーゼ染色,酸性ホスファターゼ染色,アルカリホスファターゼ染色などがある.一方,非酵素を証明する染色法としてズダン染色,PAS(periodic acid-Schiff)染色,鉄染色などがある1)

 現在の白血病の病型分類には,上記に示す特殊染色や電子顕微鏡検索,フローサイトメトリーを用いた免疫学的解析,さらには染色体検査,遺伝子検査が用いられている.そのなかで普通染色と特殊染色とを用いたFAB分類は白血病の形態学的診断として非常に重要である.

 本稿では,FAB分類で主に利用されているPOD染色,ズダン染色,エステラーゼ染色,PAS染色,また骨髄異形成症候群(myelodysplastic syndrome,MDS)の診断に必要な鉄染色,慢性骨髄性白血病(chronic myeloid leukemia,CML)の鑑別に用いられる好中球アルカリホスファターゼ(neutrophil alkaline phosphatase,NAP)染色の原理と特徴を中心に解説する.なお,実際の染色手技については割愛する.

参考文献

1) 阿南健一:三輪血液病学.文光堂,pp262-276,2006
2) 東 克巳:血液カラーアトラス.武藤化学,pp85-86,2001
3) 亀井喜恵子:月間Medical Technology別冊:新染色法のすべて.医歯薬出版,pp276-282,1999
4) 東 克巳:血液カラーアトラス.武藤化学,pp87-88,2001
5) 東 克巳:月間Medical Technology別冊:新染色法のすべて.医歯薬出版,pp293-294,1999
6) 阿南健一,亀岡孝則,須田正洋:形態学からせまる血管疾患.岡山メディック,近代出版,pp426-427,1999
7) 阿南健一:月間Medical Technology別冊:新染色法のすべて.医歯薬出版,pp272-275,1999
8) 阿南健一,亀岡孝則,須田正洋:形態学からせまる血管疾患.岡山メディック,近代出版,p459,1999
9) 芳賀 徹:血液カラーアトラス.武藤化学,pp92-94,2001
10) 安達真二:月間Medical Technology別冊:新染色法のすべて.医歯薬出版,pp295-297,1999
11) 阿南健一,亀岡孝則,須田正洋:形態学からせまる血管疾患.岡山メディック,近代出版,pp468-470,1999
12) 野中恵美:スタンダード検査血液学 第2版.医歯薬出版,pp131-132,2008
13) 山田輝雄:血液カラーアトラス.武藤化学,pp89-91,2001
14) 鶴田一人,上平 憲:スタンダード検査血液学第2版.医歯薬出版,pp132-133,2008
15) 阿南健一,亀岡孝則,須田正洋:形態学からせまる血管疾患.岡山メディック,近代出版,pp474-476,1999

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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