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増刊号 顕微鏡検査のコツ―臨床に役立つ形態学 IV 血液像 各論 3 造血器腫瘍のWHO分類
1 FABからWHO分類へ
著者: 矢冨裕1
所属機関: 1東京大学大学院医学系研究科臨床検査医学
ページ範囲:P.1101 - P.1103
文献購入ページに移動造血器腫瘍は大きく白血病と悪性リンパ腫に分けられるが,いずれも造血幹細胞から分化する血液細胞の腫瘍である.その疾患分類は造血器腫瘍の診療に携わるものの共通の土俵として,診断・治療の比較・標準化において極めて重要なものである.
この観点で,これまで急性白血病(表1),さらには骨髄異形成症の分類の中心は長らくFrench-American-British(FAB)分類であった.1975年に発表されたこの分類は形態学中心の分類であり,容易に活用でき,その臨床的有用性は広く認められてきた.しかし,その後,爆発的といってよいほどに分子細胞生物学的手法を用いた造血器腫瘍細胞の性状解析に関する研究が進んだ.その成果は,当然ながら当初のFAB分類には反映されていない.その後のFAB分類の改訂では,細胞表面マーカー,電顕所見などが加わったが,形態学中心のFAB分類の理念からくる限界もあり,病因に基づいた新しい白血病分類法が望まれていた.
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