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増刊号 顕微鏡検査のコツ―臨床に役立つ形態学 VI 病理 各論
4 免疫異常と移植の病理(肝移植を中心に)
著者: 福島万奈1 太田浩良2
所属機関: 1信州大学医学部病態解析診断学 2信州大学医学部保健学科生体情報検査学
ページ範囲:P.1245 - P.1247
文献購入ページに移動臓器移植は末期臓器不全の治療法の一つであり,移植医療でしばしば問題となるのが免疫にかかわる合併症である.ヒトには各個体特有の細胞表面抗体である主要組織適合性複合体(major histiocompatibility complex,MHC)が存在し,免疫応答により,自己以外の抗原を排除する生体防御のシステムをもっている.通常,他人の臓器を移植すれば拒絶反応が起こり,移植片は脱落・排除される.移植医療では,この拒絶反応を抑えるために,移植後に免疫抑制剤による治療が行われる.一方,現在使用されている免疫抑制剤は,拒絶反応を抑えるだけでなく,宿主の免疫機構を全般的に低下させる.そのため日和見感染症や原疾患の再燃,時に悪性腫瘍の発症を引き起こす.移植後の合併症は免疫と深くかかわっているといえる.
拒絶反応と感染症では治療法(免疫抑制剤の増減)が全く異なるため,確定診断のために組織生検が行われる.すなわち病理検査は,移植治療において,治療方針決定や治療効果判定のための重要な役割を担っている.
本稿では,肝移植を例に,免疫にかかわる移植後の合併症としての拒絶反応,感染症,原疾患の再燃の3項目について概説したい.
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