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増刊号 顕微鏡検査のコツ―臨床に役立つ形態学 VI 病理 各論 5 腫瘍
2 癌の進展・増殖と転移
著者: 中山宏文1
所属機関: 1広島鉄道病院臨床検査室
ページ範囲:P.1252 - P.1255
文献購入ページに移動前癌状態(precancerous state)とは,先行する病変なしに直接発生する癌,すなわちde novo癌の前の段階で,形態学的になんら病変を形成していない状態をいい1),遺伝的なもの(RB,p53,APC,BRCA1,BRCA2およびNF1遺伝子などのがん関連遺伝子の胚細胞レベルの遺伝子異常など)と非遺伝的なもの(アスベストおよびマスタードガスへの曝露状態などの環境因子)がある.
なお,前癌性病変(precancerous lesion)とは,形態学的に認識しうる病変で,癌に先行する病変としての可能性があるものをいう1).表皮扁平上皮癌の前癌病変と考えられてきた日光角化症(solar keratosis,図1)は表皮内癌(squamous cell carcinoma in situ)の範疇と考えられており,最近では卵巣癌の発生母地として卵巣子宮内膜症性囊胞(endometriotic cyst,図2)が注目されている.
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