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文献詳細

雑誌文献

検査と技術37巻10号

2009年09月発行

文献概要

COLUMN―形態検査において知っておきたいこと

臨床医から微生物検査室への要望―治療=抗菌薬の選択に結びつく情報提供を

著者: 青木泰子12

所属機関: 1国立病院機構東京医療センター・内科 2国立病院機構東京医療センター・感染対策室

ページ範囲:P.945 - P.945

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 臨床検査において臨床医が求めるのは治療に役立つ情報である.こと微生物検査においては,極言すれば抗菌薬の適応や選択にかかわる情報のみだといってよい.筆者は,「グラム陽性球菌陽性といわれました」という医師からの相談を受けると,「それ以上聞かなかったの?」と問い,相手の反応が悪い場合は目の前で微生物検査室に電話して,「Aさんの血液培養はグラム陽性球菌とのことですが,ブドウ球菌ですか? レンサ球菌ですか? 双球菌ですか?」と聞くことにしている.血培のコロニーから拾った染色で断言し難いことは承知している.しかし,レンサ球菌とブドウ球菌の区別はほぼ可能であり,患者背景も考えれば(市中肺炎か,カテーテル感染か)極めて大きな意味をもつ.そうなると図に乗って,「ではMRSA(methicillin-resistant Staphylococcus aureus)でしょうか?」などと聞く医者もいる.「馬鹿!」と言えばそれまでだが,幸いにして感染制御認定臨床微生物検査技師(infection control microbiological technologist,ICMT)2名を擁する当院の検査室は,患者さんの状況を聞きながら,「この方は術後に●●が投与されています.となるとMRSAの可能性もあるし,耐性のCNS(coagulase negative Staphylococcus)かもしれません.血管カテーテルは入っていますか?」などと適切な助言をして下さる.グラム陰性桿菌の場合,「緑膿菌かもしれません」というのはためらうかもしれないが,できる限りの情報を伝えようとしている熱意が伝わるなら可能である.お手つきは,日ごろの意思疎通により,よりよい治療が目的という認識があれば許容範囲のことと思う.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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