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技術講座 生化学
―ホルモンの測定シリーズ・8 副腎系:1―副腎皮質刺激ホルモン(ACTH),迅速ACTH試験,コルチゾール,尿中遊離コルチゾール,デキサメサゾン抑制試験
著者: 小田桐恵美1
所属機関: 1東京女子医科大学病院中央検査部臨床検査科
ページ範囲:P.1365 - P.1370
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多くのホルモンは免疫化学的測定法(immunoassay;イムノアッセイ)により測定されている.約50年前,IRI(immunoreactive insulin)のラジオイムノアッセイ(radioimmunoassay,RIA)によりホルモンのイムノアッセイはスタートした.現在ほぼ90%がnon-RIにより測定され迅速,大量検体処理が可能となっている.しかしながら,ホルモンは使用しているキットにより測定値が異なり値の共有化ができないことが長年指摘されてきた.サブクリニカルクッシング症候群の診断基準にコルチゾール値の判定が必須であるが,コルチゾールのキット間差が診断不能の症例を多く生み出し問題となっている.ここ数年,産業技術研究所と日本臨床検査標準協議会(Japan Committee for Clinical Laboratory Standards,JCCLS)との産学共同で多くのホルモン測定の標準化が検討されてきた.コルチゾール測定の標準化も実資料系で検討が進められており,ほぼ最終段階に入っている.今後,標準化されたコルチゾールキットの供給が待たれる.
多くのホルモンは免疫化学的測定法(immunoassay;イムノアッセイ)により測定されている.約50年前,IRI(immunoreactive insulin)のラジオイムノアッセイ(radioimmunoassay,RIA)によりホルモンのイムノアッセイはスタートした.現在ほぼ90%がnon-RIにより測定され迅速,大量検体処理が可能となっている.しかしながら,ホルモンは使用しているキットにより測定値が異なり値の共有化ができないことが長年指摘されてきた.サブクリニカルクッシング症候群の診断基準にコルチゾール値の判定が必須であるが,コルチゾールのキット間差が診断不能の症例を多く生み出し問題となっている.ここ数年,産業技術研究所と日本臨床検査標準協議会(Japan Committee for Clinical Laboratory Standards,JCCLS)との産学共同で多くのホルモン測定の標準化が検討されてきた.コルチゾール測定の標準化も実資料系で検討が進められており,ほぼ最終段階に入っている.今後,標準化されたコルチゾールキットの供給が待たれる.
参考文献
1) 小田桐恵美:コルチゾールの測定法(免疫学的測定法).平田結喜緒,成瀬光栄(編):クッシング症候群診療マニュアル.pp22-24,診断と治療社,2009
2) 社団法人日本アイソトープ協会医学・薬学部会インビトロテスト専門委員会,イムノアッセイ研究会:第27回イムノアッセイ検査 全国コントロールサーベイ成績報告要旨(2007年).Radioisotopes 57:617-668,2008
3) 小田桐恵美,成瀬光栄,寺崎和代,他:プレクリニカルクッシング症候群の診断基準について:各種コルチゾールキットを用いたデキサメサゾン抑制試験の検討.ホルモンと臨床 51(増刊号):102-107,2003
4) 産業技術研究所:平成19年度成果報告書 知的基盤創成・利用促進研究開発事業「臨床検査用標準物質の研究開発」.産業技術研究所,1-419,2008
5) 名和田新,出村博,須田俊宏,他:副腎性preclinical Cushing症候群.厚生省特定疾患「副腎ホルモン産生異常症調査研究班」平成7年度研究報告書.pp223-226,1996
6) Odagiri E, Naruse M, Terasaki K, et al:The diagnostic standard of preclinical Cushing's syndrome:Evaluation of the dexamethasone suppression test using various cortisol kits. Endocr J 51:295-302,2004
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