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αサラセミアの1例―鉄欠乏のない,小球性低色素性貧血に遭遇したら
著者: 手塚俊介1 阪野佐知子1 佐藤紀之1 柳澤賢司1 吉田和浩1 原田正一1 竹迫直樹2
所属機関: 1独立行政法人国立病院機構災害医療センター臨床検査科 2独立行政法人国立病院機構災害医療センター血液内科
ページ範囲:P.1392 - P.1393
文献購入ページに移動サラセミアは,ヘモグロビン(hemoglobin,Hb)を構成するグロビン鎖の合成が減少あるいは欠損することにより小球性低色素性貧血を呈する疾患である.Hbの合成には,4種のグロビン遺伝子対が関与し,α鎖,β鎖,γ鎖およびδ鎖グロビンを合成する.それぞれのグロビン鎖は二量体を形成し,他のグロビン二量体と会合して四量体となり,特異なHb分子を形成する.成人の血液中のHb組成は,HbA(α2β2)が全Hbの約97%を占め,HbA2(α2δ2)が約2%を,HbF(α2γ2)が約1%である.これらグロビン鎖の一つが合成抑制を起こすとサラセミアとなる.合成抑制を受けたグロビン鎖(α,β,γ,あるいはδ鎖)によってサラセミアは分類される.
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