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文献概要
Laboratory Practice 〈病理〉
病理標本でのギムザ染色のコツ
著者: 中村厚志1
所属機関: 1市立札幌病院検査部
ページ範囲:P.1400 - P.1405
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血液検査で“普通染色”と称されているギムザ(Giemsa)染色は,末梢血液や骨髄液標本での血液細胞の観察・鑑別のための染色として従来から広く用いられている.また,細胞診検査では体腔液や尿などの液状検体,穿刺吸引細胞診材料の塗抹標本観察でのギムザ染色の有用性は誰もが認めるところである.
病理組織標本でも骨髄やリンパ節などの造血組織での細胞形態観察にギムザ染色が重宝されている.しかし,均一な薄切標本作製技術,染色標本のコントラスト,核内構造および細胞質の色合い,赤血球の色調,細胞質内顆粒の染色性などに注意が必要で安定した染色性が得られないことがある(図1).
そこで病理標本でのギムザ染色の留意点を述べ,安定性のある染色標本作製に迫る.また,当院で行っている骨髄液標本作製の紹介をする.
血液検査で“普通染色”と称されているギムザ(Giemsa)染色は,末梢血液や骨髄液標本での血液細胞の観察・鑑別のための染色として従来から広く用いられている.また,細胞診検査では体腔液や尿などの液状検体,穿刺吸引細胞診材料の塗抹標本観察でのギムザ染色の有用性は誰もが認めるところである.
病理組織標本でも骨髄やリンパ節などの造血組織での細胞形態観察にギムザ染色が重宝されている.しかし,均一な薄切標本作製技術,染色標本のコントラスト,核内構造および細胞質の色合い,赤血球の色調,細胞質内顆粒の染色性などに注意が必要で安定した染色性が得られないことがある(図1).
そこで病理標本でのギムザ染色の留意点を述べ,安定性のある染色標本作製に迫る.また,当院で行っている骨髄液標本作製の紹介をする.
参考文献
1) 松本荻乃:ギムザ染色.検査と技術 29:736-738,2001
2) 足立山夫:骨髄採取法.島峰徹朗(編):骨髄組織病理アトラス.文光堂,pp4-9,1984
3) 糸山進次:組織標本作製法.島峰徹朗(編):骨髄組織病理アトラス.文光堂,pp24-30,1984
4) 日本病理学会(編):病理技術マニュアル3 病理組織標本作製技術(下巻)染色法.医歯薬出版,pp105-109,1981
5) 日本病理学会(編):病理技術マニュアル3 病理組織標本作製技術(上巻)切出しから薄切まで.医歯薬出版,1981
6) 佐野豊:組織研究法.南山堂,pp299-301,1979
7) 田嶋基男(責任編集):細胞診全書II.ギムザ染色.宇宙堂八木書店,pp19-21,1981
8) 八木濔八:新染色法のすべて.医歯薬出版,pp65-66,1999
9) 三浦妙太(監修):実践病理組織細胞染色法カラー図鑑.HBJ出版局,pp156-157,1993
10) 亀井喜喜恵子:普通染色の実際.寺田秀夫(監修):血液カラーアトラス.武藤化学株式会社,pp77-84,2001
11) 渡辺明郎:染色理論の基本知識.田嶋基男(編):細胞診の基本(上巻)総論.武藤化学株式会社,pp23-28,1998
12) 渡辺明朗:ギムザ染色/血液塗抹と組織切片の染色の違い.福田種男(編):病理組織標本作製の理論.実験病理組織技術研究会,正明堂印刷,2008
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