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Laboratory Practice 〈血液〉
ループスアンチコアグラント測定のための血漿検体作製と検査の現状
著者: 菅野信子1 鈴木明子1 金子誠1
所属機関: 1東京大学医学部附属病院検査部
ページ範囲:P.1484 - P.1490
文献購入ページに移動抗リン脂質抗体症候群(antiphospholipid syndrome,APS)は,抗リン脂質抗体(antiphospholipid antibody,aPL)により,血栓症・妊娠合併症などの臨床症状を呈する自己免疫疾患の一つである.APSの診断は2006年抗リン脂質抗体症候群診断基準(案)1)に従い,臨床症状に加えて表1に示した検査項目のいずれかが,12週以上の間隔を空けて2回以上証明されることにより判定される.しかし,APSが疑われた症例において,これら検出されうる抗体の種類や検出感度は検査方法により多種多様であり,その判定を困難なものとしている.抗カルジオリピン抗体(anticardiolipin antibodies,aCL),カルジオリピンなどの陰性荷電リン脂質と結合する血漿リポ蛋白β2GPIに対する抗β2GPI抗体(antiβ2glyco-protein I antibodies,aβ2GPI)が血清を用いたELISA(enzyme-linked immunosorbent assay)法の定量的な測定方法であるのに対して,ループスアンチコアグラント(lupus anticoagulant,LA)は血漿を用いて数種類の凝固時間法を組み合わせることにより行う定性的な検査である.特にLAでは,実施する検査法,検査試薬の違いで反応性が異なることに加え,測定される血漿検体の採血方法,血漿処理方法の煩雑さが,LA検査の標準化を障害しており複雑化させている.本稿ではLA測定やその血漿検体の作製についての注意点,これらの検査に関する現状について概説する.
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