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文献詳細

雑誌文献

検査と技術37巻13号

2009年12月発行

文献概要

臨床医からの質問に答える

遺伝カウンセリングとは

著者: 宇津野恵美1 野村文夫1

所属機関: 1千葉大学医学部附属病院遺伝子診療部

ページ範囲:P.1492 - P.1494

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はじめに

 “カウンセリング”と銘打たれたものは美容,転職,法律,結婚,その他さまざまな分野で行われている.広辞苑(第5版)によると,「カウンセリングとは個人のもつ悩みや問題を解決するため,精神医学・心理学等の立場から協力し助言を与えること」とあるが,実際にこれらのカウンセリングがこの定義に基づいた内容で行われているかを判断するのは難しい.では,本稿のテーマである遺伝カウンセリングはどう定義されているかというと,長年多くの専門家に支持されてきたのは,四半世紀前に米国人類遺伝学会より提案されたものであり1),そこには「遺伝カウンセリングとは,ある家系の遺伝性疾患の発症や発症のリスクに関連した人間の問題を扱うコミュニケーションの過程である」と記載されている.

 しかし,その概念は分子生物学や遺伝医学の発達,そして医療環境の変化を受けて移り変わってきた.2006年,米国遺伝カウンセラー学会は,時代に即した新しい定義として「遺伝カウンセリングとは,遺伝病の当事者や関係者が,遺伝病の持つ医学的,心理的,家族的影響を理解し,それに適応できるように援助するプロセスである」と公表している1,2).つまり,一般のカウンセリングと遺伝カウンセリングの大きな違いは,悩んでいるのは確かに相談者個人かもしれないが,悩みの中心である遺伝問題は家族や血縁者,さらには今後生まれてくるであろう子孫の問題でもある事実を無視できないことにある.そこで,この遺伝カウンセリングは誰がどのように,何を目的に行っているかについて筆者らの経験も含めて紹介したい.

参考文献

1) 認定遺伝カウンセラーをめざす人へ(https://www.kawasaki-m.ac.jp/mw/grad/gc.pdf)
2) 米国遺伝カウンセラー学会(http://www.nsgc.org/)
3) 千代豪昭,滝澤公子(監):認定遺伝カウンセラーをめざしたいと思う方に,遺伝カウンセラー―その役割と資格取得に向けて―.真興交易医書出版部,2006
4) 認定遺伝カウンセラー制度委員会(http://plaza.umin.ac.jp/~GC/)
5) 野村文夫:千葉大学附属病院遺伝カウンセリング室―設置の経緯,現状と今後の課題.野村文夫,羽田明(編):チーム医療のための遺伝カウンセリング入門.中外医学社,pp1-13,2007
6) 遺伝性神経筋疾患に対する遺伝カウンセリングおよび発症前遺伝子診断の指針 信州大学遺伝子診療部(http://genetopia.md.shinshu-u.ac.jp/genetopia/guideline/figure/preclinical3_10_2002%20.pdf)
7) 遺伝学的検査に関するガイドライン(遺伝医学関連10学会による.2003年8月)(http://www.congre.co.jp/gene/11guideline.pdf)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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