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文献詳細

雑誌文献

検査と技術37巻13号

2009年12月発行

文献概要

トピックス

コリンエステラーゼ作動性症状を有する中毒患者への緊急検査

著者: 池田弘典1 川崎誠司1

所属機関: 1佐賀大学医学部附属病院検査部

ページ範囲:P.1500 - P.1502

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はじめに

 コリンエステラーゼ(cholinesterase,ChE)作動性症状を引き起こす中毒物質には,①有機リン系農薬,②カーバメート系農薬,③化学兵器の神経剤(サリン,ソマンなど)といった化学物質以外にも,④ジャガイモの芽(ソラニン)などがある1).このような毒物の生体に対する作用機序の特徴は,ChE活性阻害作用である.

 ChEは,コリンエステルをコリンと有機酸に分解する酵素であり,生体にはacetylcholinesterase[EC3.1.1.7](AChE)とcholinesterase[EC3.1.1.8]の2種類が存在する.AChEは,自律神経節や交換,副交感神経節に存在し,神経伝達物質であるアセチルコリンを分解する役割を担っている.通常AChEは,酵素活性部位でアセチル基と結合するが,上記物質による中毒時はリン酸基と結合する.その結果,リン酸化されたAChEは酵素活性を失うため,分解されずに神経節に過剰に蓄積されたアセチルコリンによって典型的な神経刺激作用を引き起こす1~3)

参考文献

1) 内藤裕史:中毒百科.南江堂,2001
2) 上條吉人,相馬一亥:急性中毒診療ハンドブック.医学書院,2005
3) 奈女良昭,工藤恵子,堀寧,他:分析が有用な中毒性起因物質の実用的分析法―有機リン系農薬.中毒研究 16:205-209,2003
4) 広島大学法医学教室(編):薬毒物の簡易検査法―呈色反応を中心として.じほう,2001

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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