文献詳細
臨床医からの質問に答える
文献概要
はじめに
臨床検査,特に臨床化学成分測定の標準化は,多くの項目でトレーサビリティ体系が確立されている.酵素活性項目における常用酵素標準物質(enzyme reference material,ERM)や検量用酵素標準物質をはじめ,多くの濃度項目において実試料標準物質が設定され,日常検査法で測定値のトレーサビリティが容易に確保できるようになった.このことによって,施設間のデータの互換性は飛躍的に向上した.
これらの標準化の作業は,臨床支援を行うための手段である.したがって,これらの標準化をベースに精度管理の判断基準や臨床評価などについて共通の判定基準を作ることができる.臨床支援の重要な業務には,共通基準範囲の設定や疾病の診断基準の統一化など数多くの支援活動が考えられるが,緊急異常値(critical value)の設定や緊急異常値速報システムの構築も,その一つに挙げられる.
そこで本稿では,臨床化学成分における緊急異常値の設定と緊急異常値報告システムの構築を目的として,臨床医へ緊急異常値についてのアンケート調査を行った結果と,緊急異常値の出現頻度を算出した結果について述べ,最後に当院での緊急異常値報告システムを紹介する.
臨床検査,特に臨床化学成分測定の標準化は,多くの項目でトレーサビリティ体系が確立されている.酵素活性項目における常用酵素標準物質(enzyme reference material,ERM)や検量用酵素標準物質をはじめ,多くの濃度項目において実試料標準物質が設定され,日常検査法で測定値のトレーサビリティが容易に確保できるようになった.このことによって,施設間のデータの互換性は飛躍的に向上した.
これらの標準化の作業は,臨床支援を行うための手段である.したがって,これらの標準化をベースに精度管理の判断基準や臨床評価などについて共通の判定基準を作ることができる.臨床支援の重要な業務には,共通基準範囲の設定や疾病の診断基準の統一化など数多くの支援活動が考えられるが,緊急異常値(critical value)の設定や緊急異常値速報システムの構築も,その一つに挙げられる.
そこで本稿では,臨床化学成分における緊急異常値の設定と緊急異常値報告システムの構築を目的として,臨床医へ緊急異常値についてのアンケート調査を行った結果と,緊急異常値の出現頻度を算出した結果について述べ,最後に当院での緊急異常値報告システムを紹介する.
参考文献
1) Lundberg GDu:uPanic values five years later. Lab Observer 9:27-34,1977
2) 日本臨床化学会:標準に関する用語(Ver.2.4).臨床化学 25:126-134,1996
3) 飯塚儀明:臨床化学成分の緊急異常値―臨床医へのアンケート調査結果.医学検査 50:956-960,2001
4) 上田智:緊急検査をどう考えるか.臨床病理 28:434-436,1980
5) 松田信義,是沢俊輔,上田智:救急検査におけるPanic Valuesの臨床的意義.臨床病理 31:73-82,1983
6) 千代孝夫:緊急検査におけるパニック値の設定とその評価.救急医学 13:833-839,1989
7) 飯塚儀明:臨床化学成分の緊急異常値の検証.医学検査 51:723-726,2001
掲載誌情報