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文献詳細

雑誌文献

検査と技術37巻2号

2009年02月発行

文献概要

けんさ質問箱

心電図による自律神経機能の評価

著者: 大宮一人1

所属機関: 1聖マリアンナ医科大学循環器内科

ページ範囲:P.169 - P.171

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Q.心電図による自律神経機能の評価

 心電図のR-R間隔の測定検査で変動係数(HRV)がどれくらいまでを正常とし,どれくらいからを異常ととらえるのでしょうか.また,HRVの臨床的意義,心電図で自律神経機能を評価する方法など教えてください.(東京都 M.A.生)

 

A.大宮一人

 広い意味での循環器系を介して,多くは心電図や心拍数,血圧などを用いて自律神経機能を検査する方法は表のように多くのものがあり,日常臨床でも広く行われています.その理由として,心電図検査や血圧・心拍数などの測定は非侵襲的に簡便に行える検査であり,しかもダイナミックな変動をとらえやすいという特徴があるからだと思われます.

 循環器系のみならず動物の臓器は交感神経と副交感神経(迷走神経)による二重支配を受けており,恒常性が維持されるようになっています.この相互作用をsympathovagal balanceと呼び,呼吸による調節を受けることが知られています1).また,交感神経調節は内分泌経路を介して行われるのに対し,副交感神経経路は神経系のみを介して行われます.呼吸によって変動する洞結節の周期的変動は心拍変動(heart rate variability,HRV)と呼ばれています.

 本稿では特に日常臨床で汎用される心電図を用いた自律神経機能検査について簡単に解説します.

参考文献

1) 早野順一郎:心拍変動による自律神経機能解析.井上博(編):循環器疾患と自律神経機能 第2版.医学書院,pp71-109,2001
2) 持尾聰一郎:心電図R-R間隔変動:CVを中心に.日本自律神経学会(編):自律神経機能検査 第3版.文光堂,pp136-139,2000
3) La Rovere MT, Bigger JT Jr, Marcus FI, et alu:uBaroreflex sensitivity and heart-rate variability in prediction of total cardiac mortality after myocardial infarction. ATRAMI (Autonomic Tone and Reflexes After Myocardial Infarction) Investigators. Lancet 351:478-484,1998
4) Task force of the European Society of Cardiology and the North American Society of Pacing and Electrophysiologyu:uHeart rate variabilityu:uStandards of measurement, physiological interpretation, and clinical use. Circulation 93:1043-1065,1996
5) 岡尚省:心電図QT間隔:日本自律神経学会(編):自律神経機能検査 第3版.文光堂,pp157-160,2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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