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技術講座 微生物
便からのチフス菌およびパラチフスA菌の検出法
著者: 依田清江1
所属機関: 1千葉県衛生研究所細菌研究室
ページ範囲:P.253 - P.258
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チフス症はチフス菌あるいはパラチフスA菌の感染によって起こる全身性の疾患である.発熱で発症後,病期の進行に伴いさまざまな症状・徴候を呈する.近年,この症状・徴候に変化が起きている1).従来の3主徴であった徐脈,脾腫,バラ疹の出現する割合は減少し,一方,発症初期に下痢を呈する患者が8割以上に上る.しかし,検便を実施しても菌が検出されることは稀である.病期前半は菌血症を起こしており,チフス菌やパラチフスA菌は血液から検出される.発症初期から下痢を起こすようになった原因や便から菌が検出されない理由は不明であるが,最近,チフス菌およびパラチフスA菌には,一般に使用されるサルモネラの増菌培地や選択分離培地に増殖しにくい株が少なからずあることがわかった.
チフス症はチフス菌あるいはパラチフスA菌の感染によって起こる全身性の疾患である.発熱で発症後,病期の進行に伴いさまざまな症状・徴候を呈する.近年,この症状・徴候に変化が起きている1).従来の3主徴であった徐脈,脾腫,バラ疹の出現する割合は減少し,一方,発症初期に下痢を呈する患者が8割以上に上る.しかし,検便を実施しても菌が検出されることは稀である.病期前半は菌血症を起こしており,チフス菌やパラチフスA菌は血液から検出される.発症初期から下痢を起こすようになった原因や便から菌が検出されない理由は不明であるが,最近,チフス菌およびパラチフスA菌には,一般に使用されるサルモネラの増菌培地や選択分離培地に増殖しにくい株が少なからずあることがわかった.
参考文献
1) 依田清江,内村眞佐子:食品の微生物検査法と食中毒発生時の疫学調査法16チフス菌・パラチフスA菌.防菌防黴誌 35:609-619,2007
2) Gaillot O, Di Camillo P, Berche P, et al:Comparison of CHROMagar Salmonella medium and Hektoen enteric agar for isolation of Salmonellae from stool samples. J Clin Microbiol 37:762-765,1999
3) 国立感染症研究所:腸チフス・パラチフス2001~2004.病原微生物検出情報 26:87-88,2005
4) Typhoid fever:http://www.who.int/topics/typhoid fever/en/
5) Katz DJ, Cruz MA, Trepka M, et al:An outbreak of typhoid fever in Florida associated with an imported frozen fruit. J Inf Dis 186:234-239,2002
6) Parkhill J, Dougan G, James KD, et al:Complete genome sequence of a multiple drug resistant Salmonella enterica serovar Typhi CT18. Nature 413:848-852,2001
7) Levy H, Diallo S, Tennant SM, et al:PCR method to identify Salmonella enterica serovars Typhi, Paratyphi A, and Paratyphi B among Salmonella isolates from the blood of patients with clinical enteric fever. J Clin Microbiol 46:1861-1866,2008
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