文献詳細
臨床医からの質問に答える
貧血患者でHbA1cが低値になることがありますが,どのように考えればよいでしょうか
著者: 鈴木健1
所属機関: 1聖隷浜松病院臨床検査部
ページ範囲:P.294 - P.296
文献概要
ヘモグロビンA1c(hemoglobin A1c,HbA1c)は過去1~3か月間の血糖値を反映し,主に糖尿病の診断および治療の指標として広く利用され,また健康診断で糖尿病スクリーニングとしても用いられている.
日本糖尿病学会(Japan Diabetes Society,JDS)の糖尿病診断基準の一つにHbA1cが用いられ,また2008年4月から開始された特定健康診査,通称“メタボ健診”の検査項目となっていることから,今後もしばらくはHbA1c測定の検査としての位置付けは変わらないと考えられる.
依頼目的上,HbA1cの値が高値の場合のみに関心が高いが,低値を示すケースも少なからずみられ,対応に注意が必要である.
低値の原因には,持続性低血糖をはじめとして,溶血性貧血などの赤血球寿命が短縮する病態,異常ヘモグロビンなどが挙げられるが,まず原因の解明とその対応が必要となる.またその場合は,糖尿病の指標としてHbA1cは使用できないためグリコアルブミンなどで代用することが必要となる.
参考文献
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