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文献詳細

雑誌文献

検査と技術37巻3号

2009年03月発行

文献概要

けんさ質問箱

尿中肺炎球菌と尿中レジオネラの検査

著者: 村上日奈子1 舘田一博12

所属機関: 1東邦大学医療センター大森病院臨床検査部 2東邦大学医学部微生物学・感染症学講座

ページ範囲:P.300 - P.302

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Q.尿中肺炎球菌と尿中レジオネラの検査

 尿中肺炎球菌と尿中レジオネラの検査で,このタイミングでとると陽性に出やすい,感染していてもこの時期を逃すと陰性に出るなど,尿採取のタイミングに関する注意があれば教えてください.(大分 F.S.生)


A.村上日奈子・舘田一博

はじめに

 呼吸器感染症は頻度の高い疾患の一つであり,なかでも肺炎球菌性肺炎とレジオネラ肺炎は重症肺炎として代表的な疾患です.肺炎球菌は小児から高齢者まで多く検出されており,市中肺炎の起因菌として最も頻度の高い細菌で,欧米による疫学調査では20~40%が肺炎球菌性肺炎であったことを報告しています1)

 一方,レジオネラは市中感染のみならず病院内感染(施設内感染)を起こし,循環式風呂や温泉などにおいて本菌に汚染されたエアロゾルを吸入することが感染の原因となります.レジャー温泉施設などでの集団感染事例などもみられており2),なかでも原因菌としてLegionella pneumophila血清群1によるものが最も頻度が高く重要であり,易感染性患者,高齢者や喫煙者に多くみられ基礎疾患がある患者の死亡率は20~30%と高いと言われています.

 感染症の検査では培養法がゴールドスタンダード(基準とすべき最も確立された検査法)ですが,同定結果が出るまで時間を要し,特にレジオネラの培養においては1週間~10日間程度かかる場合もあります.

 肺炎球菌やレジオネラに代表されるような重症肺炎では症状が急速に悪化し,しばしば致命的になるため迅速診断が極めて重要となります.近年,重症肺炎の原因として重要な肺炎球菌とレジオネラに対する尿中抗原検出キットが開発され迅速診断に役立っています.

参考文献

1) 舘田一博:免疫クロマトグラフィー法による肺炎球菌尿中抗原検査.Modern Media 51:129-132,2005
2) 岡田美香,河野喜美子,倉文明,他:循環式入浴施設における本邦最大のレジオネラ症集団感染事例 I. 発症状況と環境調査.感染症学雑誌 79:365-374,2005
3) 舘田一博:尿中抗原について考える―肺炎球菌・レジオネラ.医療と検査機器・試薬 30:514-518,2007
4) 原哲郎,前田正彦:尿中抗原検出キット「BinaxNOW肺炎球菌・レジオネラ」.医療と検査機器・試薬 30:519-522,2007
」の評価.JARMAN 16:29-35,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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