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文献詳細

雑誌文献

検査と技術37巻4号

2009年04月発行

文献概要

技術講座 生化学

―ホルモンの測定シリーズ・1 下垂体系:1―成長ホルモン(GH),プロラクチン(PRL)

著者: 家入蒼生夫1 堀内裕次2

所属機関: 1獨協医科大学臨床検査医学講座 2獨協医科大学病院臨床検査部

ページ範囲:P.331 - P.337

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新しい知見

 成長ホルモン(growth hormone,GH)異常症の診断および経過観察にはGHの測定値,特に負荷試験での抑制値や頂値が必要であることが診療ガイドラインに記載されている.これは検査室においてはGH測定の正確さ・精密さが要求されていることを意味する.GH測定は,2005年4月以降,リコンビナントGHあるいはリコンビナントGH校正標品(WHO98/574)に準拠した標準品がGH測定試薬に使用されるようになり,試薬キット間差は大幅に改善された.プロラクチン(prolactin,PRL)異常症は,臨床的には過剰分泌が問題で,PRL産生腫瘍による過剰分泌や不妊症との関連が重要である.一方,PRL高値は,PRLが血中に単独のほか糖鎖および自己抗体などと重合体を形成する場合生じることがあり(マクロPRL),無症候性で治療を必要としないが現行試薬では測定され,臨床症状と一致しない.最近,このマクロPRLに対する反応性を改良した測定試薬の開発がなされた.

参考文献

1) 福田いずみ:成人GH分泌不全症.ホルモンと臨床 56:839-846,2008
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3) 立花克彦,勝又規行,島津章,他:成長ホルモン(GH)および関連因子の測定に関する研究.日本成長科学協会年報 27:11-19,2003
4) 水艸忍,米谷昌志,河田興一,他:プロラクチン測定における測定法間差およびマクロプロラクチンの反応性に関する検討.臨床検査 51:1753-1757,2007
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6) 家入蒼生夫:プロラクチン.河合忠(編):基準値と異常値の間―その判定と対策―第5版.中外医学社,pp266-268,2001
7) 間脳下垂体機能障害に関する調査研究班(主任研究員:千原和夫):厚生労働省難治性疾患克服研究事業 間脳下垂体機能障害に関する調査研究 平成15年度総括・分担研究報告書.pp77-80,pp121-125,2004
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10) 立花克彦:GH/IGF-I測定の標準化.ホルモンと臨床 53:769-776,2005
11) 独立行政法人 新エネルギー・産業技循総合開発機構:平成18年度成果報告 知的基盤創成・利用促進研究開発事業 臨床検査用標準物質の開発.pp343-360,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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