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文献詳細

雑誌文献

検査と技術37巻4号

2009年04月発行

文献概要

Laboratory Practice 〈微生物〉

救命救急におけるプロカルシトニン測定

著者: 柴田泰史1 久志本成樹2

所属機関: 1日本医科大学付属病院中央検査部 2日本医科大学救急医学

ページ範囲:P.363 - P.366

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はじめに

 敗血症は体温,脈拍数,呼吸数,末梢血白血球数で定義される全身性炎症反応症候群(systemic inflammatory response syndrome,SIRS)に感染を有する状態を指し,重症化すると多臓器不全,ショックなどからその死亡率は30%を超え,治療成績は決して良好とは言えない.敗血症は集中治療を要する症例における最大の死亡原因であり,迅速な診断は救命率の改善のポイントとなる.

 近年,全身の炎症を伴う細菌感染症の患者では血中のプロカルシトニン(procalcitonin,PCT)濃度が上昇することが広く知られるようになり,細菌性感染症の鑑別診断および,重症度判定の新しいマーカーとしてPCTが注目されている1).本稿では,PCTの生物学的意義,測定方法,さらに救命救急領域での臨床的有用性について述べる.

参考文献

1) Assicot M, Gendrel D, Carsin H, et al:High serum procalcitonin concentrations in patients with sepsis and infection. Lancet 341:515-518,1993
2) Nylen ES, Alarifi AA:Humoral markers of severity and prognosis of critical illness. Best Pract Res Clin Endocrinol Metab 15:553-573,2001
3) 柴田泰史,日ノ澤進一郎,影山憲貴,他:細菌性敗血症および重症度診断法としてのイムノクロマト法によるプロカルシトニン測定の有用性について.臨床化学 37(suppl):113,2008
4) Aikawa N, Fujishima S, Endo S, et al:Multicenter prospective study of procalcitonin as an indicator of sepsis. J Infect Chemother 11:152-159,2005
5) Kushimoto S, Shibata Y, Koido Y, et al:The Clinical Usefulness of Procalcitonin Measurement for Assessing the Severity of Bacterial Infection in Critically ill Patients Requiring Corticosteroid Therapy. J Nippon Med Sch 74:236-240,2007
6) 柴田泰史,久志本成樹:重症感染症に対してステロイドを投与した場合,炎症マーカーは何がよいのですか?.検査と技術 34:756-759,2006
7) 遠藤重厚,葛西健,佐藤信博,他:抗エンドトキシンモノクローナル抗体投与時のプロカルチトニン値の推移.症例報告.Medical Postgraduates 45:307-310,2007
8) 遠藤重厚,佐藤信博,鈴木泰,他:プロカルチトニン値はエンドトキシン吸着療法時の治療効果をよく反映する.症例報告.Medical Postgraduates 45:27-31,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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