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Laboratory Practice 〈診療支援〉
ファルマコゲノミクスへの検査室の関与―研究室から検査室へ
著者: 中谷中1 林海美子2 陣田さやか2 登勉2
所属機関: 1三重大学医学部附属病院・オーダーメイド医療部 2三重大学大学院医学系研究科臨床検査医学
ページ範囲:P.662 - P.665
文献購入ページに移動ヒトゲノムプロジェクトが完遂し,21世紀のキーワードはゲノム・サイエンスと言われている.人類が手にした膨大なゲノム情報の活用法として期待されているのが,オーダーメイド医療である.
オーダーメイド医療とは,ゲノム上に存在する遺伝子多型に着目して,人の個人差を見いだし,個人個人に最適の医療を提供するものである.さまざまなオーダーメイド医療が試みられているが,最も注目され期待されているのが,遺伝情報を活用して投与薬剤の効果や副作用の個人差を予測し,個人に最良の薬物療法を提供する,いわゆるファルマコゲノミクス(pharmacogenomics,PGx)の推進である.
日米EU医薬品規制調和国際会議によってゲノム用語の統一がなされ,ファルマコゲノミクスは「薬物応答と関連するDNA及びRNAの特性の変異に関する研究」と定義されている1).このなかで,「ファルマコジェネティクス(pharmacogenetics,PGt)はファルマコゲノミクスの一部であり,薬物応答と関連するDNA配列の変異に関する研究」と定義されている.
ファルマコゲノミクスを臨床応用するに当たって,遺伝子特性の解析のなかでは一塩基多型解析が導入しやすいため,薬剤代謝酵素遺伝子多型に基づくファルマコジェネティクスがもっぱら実践されているのが現状である.
本稿では,当院での取り組みを例にしながら,ファルマコゲノミクスを検査室で実践するための課題について解説したい.
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