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臨床医からの質問に答える
プロトロンビン時間(PT)の表記
著者: 香川和彦1
所属機関: 1東京医科大学臨床検査医学講座
ページ範囲:P.671 - P.674
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プロトロンビン時間(prothrombin time,PT)は,クエン酸加血漿検体に組織トロンボプラスチン試薬(リン脂質を含む組織因子で,通常はカルシウムも含む,いわゆるPT試薬)を添加し,フィブリンが析出するまでの時間(秒)を測定する検査である.単純な測定原理ゆえに,血液凝固系の機能を反映する検査として汎用されている.フィブリンの析出を検出する方法は,原法である目視による用手法のほか,自動測定機器に採用されている散乱光の変化を利用した光学的方法,および粘性の変化を利用した力学的方法に大別される.PT試薬には,含有する組織因子の動物種により,ヒト,ウサギ,ウシの区別があり,これらの臓器由来試薬のほかに,細胞培養による試薬や遺伝子組換え試薬が開発されている.国内で使用されている主なPT試薬を表1に示す.
PT検査の特性と問題点を表2にまとめた.「複数の凝固因子活性を,時間の単位で総合的に評価する」という命題の解決のために,多様な試薬や測定方法の開発に発展したが,やがて検査結果の互換性の問題が明白となり,それが必然的に複数の表記法を生み出した経緯がある1).
プロトロンビン時間(prothrombin time,PT)は,クエン酸加血漿検体に組織トロンボプラスチン試薬(リン脂質を含む組織因子で,通常はカルシウムも含む,いわゆるPT試薬)を添加し,フィブリンが析出するまでの時間(秒)を測定する検査である.単純な測定原理ゆえに,血液凝固系の機能を反映する検査として汎用されている.フィブリンの析出を検出する方法は,原法である目視による用手法のほか,自動測定機器に採用されている散乱光の変化を利用した光学的方法,および粘性の変化を利用した力学的方法に大別される.PT試薬には,含有する組織因子の動物種により,ヒト,ウサギ,ウシの区別があり,これらの臓器由来試薬のほかに,細胞培養による試薬や遺伝子組換え試薬が開発されている.国内で使用されている主なPT試薬を表1に示す.
PT検査の特性と問題点を表2にまとめた.「複数の凝固因子活性を,時間の単位で総合的に評価する」という命題の解決のために,多様な試薬や測定方法の開発に発展したが,やがて検査結果の互換性の問題が明白となり,それが必然的に複数の表記法を生み出した経緯がある1).
参考文献
1) 香川和彦:プロトロンビン時間とその標準化.臨床病理 50:779-785,2002
2) 香川和彦,福武勝幸:プロトロンビン時間と活性化部分トロンボプラスチン時間の問題点と標準化の可能性について.JJCLA 27:139-144,2002
3) 藤田進,香川和彦,福武勝幸:プロトロンビン時間による複合凝固因子低下の評価にInternational Normalized Ratio(INR)表記法を導入するための基礎的検討.臨床病理 50:618-624,2002
4) Tripodi A, Chantarangkul V, Primignani M, et al:The international normalized ratio calibrated for cirrhosis (INRliver) normalizes prothrombin time results for model for end-stage liver disease calculation. Hepatology 46:520-527,2007
5) Bellest L, Eschwege V, Poupon R, et al:A modified international normalized ratio as an effective way of prothrombin time standardization in hepatology. Hepatology 46:528-534,2007
6) 香川和彦,福武勝幸:プロトロンビン時間(PT)とフィブリノゲン・フィブリン分解産物(FDP)の標準化はどこまで進んでいるか.JJCLA 31:175-181,2006
7) 香川和彦:プロトロンビン時間(PT)の表記.日本検査血液学会雑誌 4:424-425,2003
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