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結石を繰り返す患者における尿沈渣(DHA結晶)
著者: 木村由1 原章規2 堀田宏2 和田隆志2
所属機関: 1白山石川医療企業団公立つるぎ病院臨床検査室 2金沢大学附属病院検査部
ページ範囲:P.728 - P.729
文献購入ページに移動再発率の高い尿路結石症の診断において,尿沈渣中の結晶は重要である.結石の主な構成成分は,日本臨床検査標準協議会(Japanese committee for clinical laboratory standards,JCCLS)尿沈渣法で通常結晶とされるシュウ酸カルシウム,リン酸アンモニウムマグネシウム,尿酸などであるが,先天性疾患の代謝異常で生じる異常結晶は,結石を生じる危険性が高いため特に注意しなければならない.しかし,異常結晶には通常結晶との鑑別が難しい結晶がある.このうち,尿酸塩は異常結晶の2,8-ジヒドロキシアデニン(2,8-dihydroxyadenine,DHA)結晶とよく似た形態を呈するため注意を要する.
DHA結晶は,先天性疾患であるアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ(adenine phosphoribosyltransferase,APRT)欠損症の尿沈渣中に認められる.DHA結晶は難溶性で腎毒性が強く,尿路結石症をきたし,腎不全に至る場合がある.
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