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文献詳細

雑誌文献

検査と技術37巻8号

2009年08月発行

文献概要

目指せ!一般検査の精度向上

―尿沈渣検査の精度向上:4―尿沈渣成分の鑑別―上皮細胞(異型細胞)―膀胱癌の臨床診療に迫る,異型細胞検索との関連性を求めて

著者: 藤利夫1 竹下律子1 小材和浩2

所属機関: 1国立病院機構九州がんセンター臨床検査部 2福岡赤十字病院検査部病理室

ページ範囲:P.732 - P.736

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はじめに

 尿路系腫瘍における尿中形態検査(尿沈渣,尿細胞診)は,内視鏡や画像診断での発見が困難な尿路上皮内癌や非乳頭状広基性で微小浸潤癌の発見に優れている.悪性細胞の検出だけでなく,組織型と細胞学的な異型度の推定も行い,治療効果の判定や再発監視など大きく鏡検技術の視点拡大が望まれている.特に,検尿から得られる尿沈渣は,被検者に苦痛を与えず繰り返し行うことができ,病態を疑う成分(円柱,結晶,細菌,真菌,原虫,虫卵など)および直接的な疾患に関連するような細胞成分(血球形態異常,異型上皮細胞)の検索にも有用である.

 本稿では,膀胱癌の診断と治療法からみた臨床病理学的背景を基盤とする尿中異型細胞検索の関連性について概要を記する.

参考文献

1) 藤利夫,阿倉薫,西国広:泌尿器の細胞診.西国広(編著):基礎から学ぶ 細胞診のすすめ方.近代出版,pp122-149,2001
2) 藤利夫,西国広:尿沈渣と細胞診.西国広(編著):尿沈渣検査のすすめ方―「尿沈渣検査法」の標準化に向けて.近代出版,pp72-86,1996
3) 金城満・藤利夫:泌尿器領域の細胞診―尿中細胞の見方と考え方.松浪硝子工業,pp1-24,1992
4) Murphy WM:Diseases of the urinary bladder, urethra, ureters and renal pelvis. Murphy WM (ed):Urological Pathology. Saunders, Philadelphia,pp34-146,1989
5) 油野友二,伊藤機一(編著):Medical Technology別冊 尿沈渣検査症例アトラス.医歯薬出版,2000
6) 高橋正宣,伊藤機一:図説尿沈渣教本.宇宙堂八木書店,1982
7) 日本泌尿器科学会・日本病理学会(編):膀胱癌取り扱い規約(第3版),金原出版,pp7-62,2001
8) 日本臨床衛生検査技師会(編):尿沈渣検査法.日本臨床衛生検査技師会,1991

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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