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検査と技術37巻8号

2009年08月発行

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カーボンナノチューブ電極

著者: 後藤正男1

所属機関: 1東京工科大学応用生物学部

ページ範囲:P.771 - P.773

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■カーボンナノチューブを取り巻く全体像

 近年,カーボンナノチューブが電子,電気,材料,エネルギー分野などで新しい素材として注目されている1).しかし,電極素材としては,その可能性が十分に明らかにされているとは言えない.白金やグラッシーカーボンなどの従来の電極と比較して,どのような特徴をもつ素材なのか,不明の状態と言える.

 カーボンナノチューブはカーボンでできた直径が“ナノ”メートルの“チューブ”状の物質である.グラファイト層を丸めてつなぎ合わせたような構造を有し,グラファイトと同じπ電子を有している.このため,カーボンナノチューブの電気的な特性が発現する.カーボンナノチューブは,多様な構造をもっており.グラファイト層が1枚だけのもの(単層ナノチューブ)と複数枚を同心円状に重ねたもの(多層ナノチューブ)が存在する.多層ナノチューブは,一般的には内部に中空構造を有している中空型(図1)と,竹のように途中に節のある竹型のカーボンナノチューブがある(図2).竹型構造のものは構造内にクラック(C-C結合が切断している部分)を有し,電子が移動しやすいと言われている.

参考文献

1) Iijima S:Helical microtubules of graphitic carbon. Nature 354:56-58,1991
2) 後藤正男,小出哲,来栖史代,他:カーボンナノチューブを用いた胆汁酸測定用センサーチップ.検査と技術 33:304-307,2005
3) 後藤正男,来栖史代,小出哲,他:カーボンナノチューブを用いたFIA方式グルコースセンサーの検討.第37回日本臨床検査自動化学会抄録集,580,2005
4) Kurusu F, Tsunoda H, Saito A, et al:The advantage of using carbon nanotubes compared with edge plane pyrolytic graphite as an electrode material for oxidase-based biosensors. Analyst 131:1292-1298,2006
5) 後藤正男,飯窪優二,冨江香織,他:修飾核酸のカーボンナノチューブ電極による電気化学的評価.第39回日本臨床検査自動化学会抄録集,p597,2007
6) 飯窪優二,冨江香織,曾谷直人,他:修飾核酸のカーボンナノチューブ電極による電気化学的評価.日本化学会第88春季年会抄録集,3PC-140,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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