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文献詳細

雑誌文献

検査と技術37巻9号

2009年09月発行

文献概要

技術講座 生化学

―ホルモンの測定シリーズ・6 甲状腺・副甲状腺系:4―サイログロブリン(Tg),抗サイログロブリン抗体(TgAb),抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPOAb)

著者: 池田斉1

所属機関: 1埼玉医科大学病院健康管理センター

ページ範囲:P.793 - P.797

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新しい知見

 サイログロブリン(thyroglobulin,Tg)は,甲状腺濾胞細胞で作られる甲状腺特異的な糖蛋白である.血中のTg測定により,甲状腺癌の手術後の経過フォロー,術後再発や転移の診断に役立つ.一方,Tg低値の疾患(現在の測定では感度が十分でないため,健常人との鑑別はできないが)として先天性Tg合成障害が注目されている.Tg合成障害は,先天性甲状腺機能低下症の原因となり甲状腺腫を有することが多く,主にTgの遺伝子異常によって起こる.発症頻度は,67,000人に1人で常染色体劣性遺伝である.わが国では39種以上のTg遺伝子異常が報告されている.甲状腺自己抗体として,抗Tg抗体,抗TPO抗体があるが,自己免疫性甲状腺疾患であるバセドウ病(Basedow's disease),橋本病(慢性甲状腺炎)の診断に必須である.両者とも,以前は凝集法による半定量法(サイロイドテスト,マイクロゾームテスト)で行われていたが,現在では,Tgや甲状腺ペルオキシダーゼ(thyroid peroxidase,TPO)を標識抗原としたラジオイムノアッセイ(radioimmunoassay,RIA),酵素免疫測定法(enzyme immunoassay,EIA)などの定量法で測定されている.これらは従来法より感度,特異性ともに格段に向上しており,特に橋本病の診断に寄与している.

参考文献

1) 家入蒼生夫:サイログロブリン.櫻林郁之介,熊坂一成(監修):最新臨床検査項目辞典.医歯薬出版,pp383-384,2008
2) 家入蒼生夫,菱沼昭,竹越一博:実地医家に必要な新しい検査と重要な検査項目 内分泌・代謝疾患.日内会誌 97:2983-2990,2008
3) 和泉元衛:血中サイログロブリン.Medical Practice 5:1213-1218,1988
4) 越智幸男,乾武弘,梶田芳弘:甲状腺自己抗体.Medical Practice 11:1393-1398,1994
5) 三橋知明:抗サイログロブリン抗体.櫻林郁之介,熊坂一成(監修):最新臨床検査項目辞典.医歯薬出版,pp562-563,2008
6) 三橋知明:抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(抗マイクロゾーム抗体).櫻林郁之介,熊坂一成(監修):最新臨床検査項目辞典.医歯薬出版,pp563,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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