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疾患と検査値の推移
造血器腫瘍とWT1遺伝子発現量の推移
著者: 今井順子1 大蔵照子1 日紫喜芳美1 森下芳孝1
所属機関: 1名古屋大学医学部附属病院検査部
ページ範囲:P.805 - P.810
文献購入ページに移動WT1遺伝子(Wilms tumor gene 1)は,小児の腎腫瘍であるウィルムス腫瘍の原因遺伝子として単離され1,2),その働きはジンクフィンガー型の転写因子である.WT1遺伝子の欠失や突然変異によりウィルムス腫瘍が発生すると考えられ,癌抑制遺伝子として位置づけられていたが,近年WT1メッセンジャーRNA(messenger RNA,mRNA)が造血器腫瘍において白血病細胞株および急性白血病検体に発現していることが報告された3,4).
現在では,WT1 mRNA測定はキメラ遺伝子などのマーカーとなるものが見つからない造血器腫瘍の治療経過観察モニターとして用いられている.WT1 mRNAを高感度リアルタイムポリメラーゼ連鎖反応(polymerase chain reaction,PCR)定量法で測定することにより微小残存病変(minimal residual disease,MRD)の把握が可能となってきた.表1にMRD検査の有用性,図1に造血器腫瘍の治療と診断の流れを示す.
本稿では,当院で測定している造血器腫瘍キメラ遺伝子(PML/PARα,AML1/MTG8,major BCR/ABL,minor BCR/ABL)に対してWT1 mRNAの発現量の推移を観察した.また,表2に代表的な病型特異的染色体転座と融合遺伝子を示す.
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