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文献詳細

雑誌文献

検査と技術37巻9号

2009年09月発行

文献概要

Laboratory Practice 〈病理〉

乳癌治療後の子宮内膜細胞診にみられる異型細胞

著者: 鈴木博1 岩崎秀昭2 堀内文男3

所属機関: 1千葉市立青葉病院臨床検査科 2千葉市立青葉病院産婦人科 3千葉大学医学部附属病院病理部

ページ範囲:P.830 - P.833

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はじめに

 近年,乳癌術後の補助化学療法として抗エストロゲン製剤のタモキシフェンが一般的に用いられ長期投与可能な薬剤としてその有用性が認められている.その一方でタモキシフェンの長期服用者に子宮内膜癌を含む増殖症病変が発生しやすいことが報告されている1,2).タモキシフェンは本来乳癌に対して抗エストロゲン作用を示すが,長期間投与することで子宮内膜に対して弱いエストロゲン様作用を示すといわれる3).しかしタモキシフェン投与後の内膜細胞診の報告はいずれも症例数が少なく,その細胞像は明らかになっていないのが現状である.今回タモキシフェン投与後の,子宮頸部,内膜の細胞の出現様式について検討した.

参考文献

1) Fisher B, Constantino JP, Redmond CK, et al:Endometrial cancerin tamoxifen-treated breast cancer patients:findings from the national surgical Adjuvant Breat and Bowel project B―14. J Natl Cancer Inst 86:524-537,1994
2) 婦人科腫瘍委員会報告「SERMが発生誘因となる婦人科腫瘍に関する調査小委員会」報告.日産婦誌 53:788,2001
3) 滝 一郎:子宮体部腫瘍:子宮体部の臨床.婦人科腫瘍の臨床病理,pp118-119,2004
4) 藤田博正:細胞診セミナー2005(1)婦人科系,日臨細胞学会北海道支部会報 15:50-53,2006
5) 加来恒,河野善明,丸山智義:タモキシフェンと内膜細胞診,産婦人科治療 85:55-59,2002
6) 二口光里,明瀬大輔,植木実,他:乳癌術後タモキシフェン投与中長期継続観察後に発生した子宮内膜癌の1例,産婦人科の進歩 57:354-359,2005
7) 杉山裕子,南敦子,手島英雄,他:乳癌術後のタモキシフェン投与が閉経子宮内膜に与える影響―細胞所見について.日臨細胞誌 38:141-147,1999

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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