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はじめに
アミノ酸自動分析計がスタイン(Stein)とムーア(Moore)によって開発されてから50年になる.その間,分析計は格段に進歩したが,イオン交換カラムでアミノ酸を分離しニンヒドリン発色させて定量するという原理は開発当初から変わっておらず,分析時間が長く,分析コストが高いという問題点をいまも抱えている.近年,液体クロマトグラフ質量分析(liquid chromatograph/mass spectrometer,LC/MS)を用いた新しい分析法が開発されており,分析時間の短縮や低コスト化が期待されている1).
臨床検査においてアミノ酸分析が行われるのは先天的アミノ酸代謝疾患や肝硬変の病態をモニタリングする場面に限られており,その頻度は高くないのが現状である.しかしながら,多くの疾患で血中のアミノ酸濃度が変化することはよく知られていることであり2),今後,臨床の場でアミノ酸測定の必要性が高まると考えられる.また,基本栄養素の一つであるアミノ酸を測定することは栄養学的にも重要であるといえる.
血中アミノ酸の測定には血清もしくは血漿が用いられるが,以下で述べるとおりアミノ酸濃度は血球の影響を大きく受けるので,室温で血球とともに長時間放置される血清ではなく血漿のほうがアミノ酸測定用検体としては適している.したがって,本稿においては血漿の取り扱いについて述べることにする.
アミノ酸分析に用いる血液検体の処理は,採血,血漿分離,除蛋白の三つのステップからなる.以下,各ステップにおける検体の取り扱いについてその留意点を述べる.
アミノ酸自動分析計がスタイン(Stein)とムーア(Moore)によって開発されてから50年になる.その間,分析計は格段に進歩したが,イオン交換カラムでアミノ酸を分離しニンヒドリン発色させて定量するという原理は開発当初から変わっておらず,分析時間が長く,分析コストが高いという問題点をいまも抱えている.近年,液体クロマトグラフ質量分析(liquid chromatograph/mass spectrometer,LC/MS)を用いた新しい分析法が開発されており,分析時間の短縮や低コスト化が期待されている1).
臨床検査においてアミノ酸分析が行われるのは先天的アミノ酸代謝疾患や肝硬変の病態をモニタリングする場面に限られており,その頻度は高くないのが現状である.しかしながら,多くの疾患で血中のアミノ酸濃度が変化することはよく知られていることであり2),今後,臨床の場でアミノ酸測定の必要性が高まると考えられる.また,基本栄養素の一つであるアミノ酸を測定することは栄養学的にも重要であるといえる.
血中アミノ酸の測定には血清もしくは血漿が用いられるが,以下で述べるとおりアミノ酸濃度は血球の影響を大きく受けるので,室温で血球とともに長時間放置される血清ではなく血漿のほうがアミノ酸測定用検体としては適している.したがって,本稿においては血漿の取り扱いについて述べることにする.
アミノ酸分析に用いる血液検体の処理は,採血,血漿分離,除蛋白の三つのステップからなる.以下,各ステップにおける検体の取り扱いについてその留意点を述べる.
参考文献
1) Shimbo K, Oonuki T, Yahashi Y, et al:Precolumn derivatization reagents for high-speed analysis of amines and amino acids in biological fluid using liquid chromatography/ electrospray ionization tandem mass spectrometry, Rapid Commun. Mass Spectrom 23:1483-1492,2009
2) Cynober L:Metabolic and Therapeutic Aspects of Amino Acids in Clinical Nutrition. CRC Press, Florida,2003
3) Forslund AH, Hambraeus L, van Beurden H, et al:Inverse relationship between protein intake and plasma free amino acids in healthy men at physical exercise. Am J Physiol Endocrinol Metab 278:E857-E867,2000
4) 中村美知子,伊勢崎美和,窪田真理,他:PFC比の異なる食事摂取が空腹感に及ぼす影響:血漿アミノ酸・脂肪酸濃度との関係.山梨医科大学紀要 15:035-041,1998
5) Filho JCD, Bergstrom J, Stehle P, et al:Simultaneous measurements of free amino acid patterns of plasma, muscle and erythrocytes in healthy human subjects. Clin Nutr 16:299-305,1997
6) 飯塚儀明,桑克彦,竹花俊二,他:NaF採血の室温放置による10mg/dl低下を改善する採血管冷却器の開発.糖尿病 52(Suppl1):S266,2009
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