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文献詳細

雑誌文献

検査と技術38巻10号

2010年09月発行

文献概要

増刊号 免疫反応と臨床検査2010 I 総論―免疫反応の基礎 D 非特異反応―イムノアッセイのピットフォール

1 非特異反応とは

著者: 石橋みどり1

所属機関: 1慶應義塾大学病院中央臨床検査部

ページ範囲:P.778 - P.782

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はじめに

 非特異反応とは,測定対象以外の何らかの生体成分が測定試薬や採血管の添加物などの成分と異常反応を引き起こし,病態とかけ離れた測定値を示す現象を指す.

 免疫学的測定で対象とする成分は生体内での存在様式が多様であり,基本的に生理活性に依存している抗原・抗体反応を原理とするため,その反応は複雑である.非特異反応の要因を解析するためには病態や治療,生体の個別環境などによる血清成分の量的,質的変化を把握するとともに,試薬の組成を十分に理解する必要がある.また,近年は試薬組成にとどまらず,採血管の素材や添加物,分離剤などが間接的に抗原・抗体反応に影響を及ぼすことも知られている1)

参考文献

1) 伊藤耐子,長澤千春:ラテックス免疫比濁法によるPSA測定試薬への採血菅の影響.JJCLA33:812-816,2008
C-ペプチド」の有用性の検討―血中Cペプチド測定におけるプロインスリンとの交差反応性を中心に.臨床検査52:1745-1752,2007
3) 加野象次郎,伊藤喜久,石橋みどり,他:わが国における血清総PSA測定の現状と方法間差の要因.泌尿器外科11:942-949,1998
4) 大竹皓子,関口仁,加野象次郎:マウスモノクローナル抗体を用いた2-site immunoassay法に干渉したヒトIgM.臨床化学18:202-210,1987
5) Kohse KP, Wisser H:Antibodies as a source of analyrical errors. Clin Chem Biochem28:881-892,1990
6) Kricka LJ:Human anti-animal antibody interferences in immunological assays. Clin Chem45:942-956,1999
7) 大竹皓子,加野象次郎,渡邊清明:免疫比濁法によるCRP定量での異常反応と血清蛋白異常との関連.臨床病理48:752-759,2000
8) 井本真由美:PIVKA-II測定時に一過性に非特異反応を認めた混合型クリオグロブリン血症の解析.医学検査58:461,2009
9) 河野通盛,山田貞子,汐田剛史,他:スクラルファート長期内服により血清CA19-9値上昇を示した6例の検討.臨床検査46:929-932,2002
10) D'Amico AV, Roehrborn CG:Effect of 1mg/day finasteride on concentrations of serum prostate-specific antigen in men with androgenic alopecia;A randomized controlled trial. Lancet Oncol8:21-25,2007
11) 藤田清貴,櫻林郁之介:M-蛋白の検査と臨床―検査に影響を及ぼすM-蛋白.臨床病理49:682-685,2001
12) 日本臨床衛生検査技師会免疫血清検査研究班:免疫血清検査における異常現象―その実例と対策.2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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