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文献詳細

雑誌文献

検査と技術38巻10号

2010年09月発行

文献概要

増刊号 免疫反応と臨床検査2010 II 自己免疫

7 自己免疫性甲状腺疾患の検査

著者: 日高洋1

所属機関: 1大阪大学大学院医学系研究科臨床検査診断学

ページ範囲:P.837 - P.841

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自己免疫性甲状腺疾患の検査とは

 甲状腺特異的な蛋白に対して自己免疫反応を起こしているのが自己免疫性甲状腺疾患で,そのほとんどがBasedow病と慢性甲状腺炎(橋本病)である.

 甲状腺細胞膜上に存在する甲状腺刺激ホルモン(thyroid-stimulating hormone,TSH)のレセプターに対する自己抗体が,TSHレセプター抗体(TSH receptor antibody,TRAb)である.この抗体は通常,TSH様の甲状腺刺激作用を有すため甲状腺機能亢進症,つまりBasedow病を発症させる.この刺激活性を調べたのが甲状腺刺激抗体〔thyroid stimulating antibody(TSAb).保険収載上の検査名はTSH刺激性レセプター抗体〕である.したがって,Basedow病を疑った場合に測定する検査項目は,TRAbとTSAbである.なお,TRAbにはTSHの作用を阻害する抗体もあり,その場合には甲状腺機能低下症となる.この阻害活性を調べたのが甲状腺刺激阻害抗体(thyroid-stimulation blocking antibody,TSBAb)で,多くの検査会社で測定可能であるが,保険収載されていない.

参考文献

1) 吉村弘,村上司,宮崎直子,他:抗TSHレセプターヒトモノクローナル抗体(M22)を用いた電気化学発光免疫測定法(ECLIA)による抗TSHレセプター抗体(TRAb)全自動測定試薬の基礎的,臨床的性能評価.医学と薬学59:1111-1120,2008
2) 日本甲状腺学会「Basedow病薬物治療のガイドライン2006」作成ワーキンググループ:バセドウ病薬物治療の中止.日本甲状腺学会(編):バセドウ病薬物治療のガイドライン2006.南江堂,pp77-95,2006
3) 武市藍,青木智之,常川勝彦,他:抗サイログロブリン抗体(TgAb)および抗甲状腺ペルオキシダーゼ抗体(TPOAb)測定キットの検討―3法(RIA法,FEIA法,ECLIA法)の比較.医学と薬学62:791-800,2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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