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増刊号 免疫反応と臨床検査2010 IV 感染症 B 各種感染症の免疫学的検査法
1 呼吸器感染症
著者: 福川陽子1 八木原由佳2 長井蘭2 児矢野早穂2 小林維斗2 米谷正太1 岡崎充宏2
所属機関: 1杏林大学医学部付属病院臨床検査部 2東京大学医学部附属病院感染制御部
ページ範囲:P.870 - P.877
文献購入ページに移動A群愍溶血性レンサ球菌とは
Lancefieldの血清型分類においてA型に分類され,血液寒天培地上でβ溶血を示すレンサ球菌の一つがStreptococcus pyogenesである.本菌の感染による疾患は多彩であり,①急性限局性化膿症(咽頭炎,扁桃炎などの上気道炎,肺炎,中耳炎および蜂窩織炎など),②毒素性疾患(猩紅熱および丹毒),③続発性疾患(急性糸球体腎炎およびリウマチ熱),④劇症型溶血性レンサ球菌感染症がある.一般的な疾患は急性咽頭炎であり,その多くは小児が罹患する.また,劇症型溶血性レンサ球菌感染症はショック症状,多臓器不全,軟部組織の壊死など重篤な病態の進行が極めて早く,致死率が約30%と高く,大人から子どもまで広範囲の年齢層に発症するが,30歳以上の大人に多いのが一つの特徴である.
診断には感染部位の臨床検体からS. pyogenesを分離培養法によって検出するか,あるいは直接的に咽頭ぬぐい液を検査材料とするイムノクロマトグラフィ法やラテックス凝集法を用いた迅速診断キットが有用とされている.
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