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文献詳細

雑誌文献

検査と技術38巻10号

2010年09月発行

文献概要

増刊号 免疫反応と臨床検査2010 IV 感染症 C 血流関連感染症の検査法

1 ウイルス性肝炎

著者: 新谷良澄1

所属機関: 1東京大学医学部附属病院感染制御部

ページ範囲:P.884 - P.886

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B型肝炎ウイルス(hepatitis B virus,HBV)

1 . 概要

 HBVは,3.2kbの環状2本鎖DNAをもつコアと,それを包むエンベロープからなるウイルスであり,ウイルスを含む血液・体液を介して感染する.B型肝炎ウイルスに感染した場合,成人だと70~80%が不顕性感染で20~30%が急性肝炎を発症する.その経過を図1に示す.多くの場合は一過性感染で終わるが,欧米に多いHBVの遺伝子型Aが最近わが国でも増え,この場合約10%が慢性化する.垂直感染(母子感染)の場合や幼少期に感染した場合は,持続感染することが多い(図2).

 HBs(hepatitis B virus surface)抗原はウイルス表面にある抗原で,これが血清中に存在することでHBV感染と診断する.感染初期などではHBs抗原陰性のこともあり,HBVコア抗体陽性が診断の助けとなることがあるが,再検査が必要となることが多い.HBs抗体については,一部が防御抗体であり,感染治癒後ないしワクチンによる免疫において陽性となる.一度陽性になれば,その後抗体が10mIU/ml以下に低下しても免疫記憶が残り,抗原特異BおよびT細胞が選択的に増殖・分化するので,ワクチンによる防御が続くと考えられてきたが,肝炎を発症したとの報告も出た.

参考文献

1) 日本神経感染症学会診療方針作成委員会:細菌性髄膜炎の診療ガイドライン(http://www.neuroinfection.jp/pdf/guideline101.pdf)
2) Tunkel AR, Hartman BJ, Kaplan SL, et al:Practice guidelines for the Management of Bacterial Meningitis. Clin Infect Dis39:1267-1284,2004
3) 稲見由紀子,石和田稔彦,深沢千絵,他:髄液検体に対する肺炎球菌尿中抗原迅速検出キットの使用が診断上有用であった肺炎球菌性髄膜炎の1例.小児感染免疫4:405-409,2006
4) Gray LD, Fedorko DP:Laboratory diagnosis of bacterial meningitis. Clin Microbiol Rev5:130-145,1992
5) 石和田稔彦:髄液で可能な細菌学的検査.小児内科37:488-492,2005
6) 久保勢津子:スライディックス・メニンギートキット.臨床と微生物27:159-162,2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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