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文献概要
増刊号 免疫反応と臨床検査2010 V 生化学 F 線維化マーカー
1 肺の線維化マーカー
著者: 諏訪部章1
所属機関: 1岩手医科大学医学部臨床検査医学
ページ範囲:P.926 - P.930
文献購入ページに移動間質性肺炎と肺線維症
間質性肺炎と肺線維症は混同されやすい疾患である.間質性肺炎の分類を図1に示す.間質性肺炎は,大きく線維化に至るものとそうでないものとに分類される.線維化に至らない間質性肺炎は,マイコプラズマやウイルスなどの感染によるものがほとんどで一過性であることが多い.線維化には肉芽腫性と非肉芽腫性とがあり,各々に原因既知のものと不明のものとがある.このなかで,原因不明で両側肺野にびまん性陰影をきたす特発性間質性肺炎(idiopathic interstitial pneumonia,IIP)が間質性肺炎の代表的疾患である.IIPは主として臨床症状やX線写真の陰影からの診断であり,このなかで組織学的検索により線維化が証明されたものを特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis,IPF)と称するのが一般的である.
肺胞は肺胞上皮細胞(I型とII型)に覆われた空間であり,間質は正常では薄い壁として存在している(図2a).一般的な細菌性肺炎は,肺胞内に到達した細菌と滲出好中球との戦いとしてとらえられる(図2b).これに対し,間質性肺炎は間質への細胞浸潤を主体とする疾患であり,間質は肥厚する(図2c).従来,肺線維症は間質に線維芽細胞が増殖し,間質が肥厚する結果,肺胞腔が狭められる疾患と理解されてきた(図2d)が,最近では肺胞内線維化(intra-alveolar fibrosis)という概念が一般的になっている.
間質性肺炎と肺線維症は混同されやすい疾患である.間質性肺炎の分類を図1に示す.間質性肺炎は,大きく線維化に至るものとそうでないものとに分類される.線維化に至らない間質性肺炎は,マイコプラズマやウイルスなどの感染によるものがほとんどで一過性であることが多い.線維化には肉芽腫性と非肉芽腫性とがあり,各々に原因既知のものと不明のものとがある.このなかで,原因不明で両側肺野にびまん性陰影をきたす特発性間質性肺炎(idiopathic interstitial pneumonia,IIP)が間質性肺炎の代表的疾患である.IIPは主として臨床症状やX線写真の陰影からの診断であり,このなかで組織学的検索により線維化が証明されたものを特発性肺線維症(idiopathic pulmonary fibrosis,IPF)と称するのが一般的である.
肺胞は肺胞上皮細胞(I型とII型)に覆われた空間であり,間質は正常では薄い壁として存在している(図2a).一般的な細菌性肺炎は,肺胞内に到達した細菌と滲出好中球との戦いとしてとらえられる(図2b).これに対し,間質性肺炎は間質への細胞浸潤を主体とする疾患であり,間質は肥厚する(図2c).従来,肺線維症は間質に線維芽細胞が増殖し,間質が肥厚する結果,肺胞腔が狭められる疾患と理解されてきた(図2d)が,最近では肺胞内線維化(intra-alveolar fibrosis)という概念が一般的になっている.
参考文献
1) Kohno N, Kyoizumi S, Awaya Y, et al:New serum indicator of interstitial pneumonitis activity:Sialylated carbohydrate antigen KL-6. Chest96:68-73,1989
2) Kuroki Y, Tsutahara S, Shijubo N, et al:Elevated levels of lung surfactant protein A in sera from patients with idiopathic pulmonary fibrosis and pulmonary alveolar proteinosis. Am Rev Respir Dis147:723-729,1993
3) Honda Y, Kuroki Y, Matsuura E, et al:Pulmonary surfactant protein D in sera and bronchoalveolar lavage fluids. Am J Respir Crit Care Med152:1860-1866,1995
4) Hirasawa Y, Kohno N, Yokoyama A, et al:Natural autoantibody to MUC1 is a prognostic indicator for non-small cell lung cancer. Am J Respir Crit Care Med161:589-594,2000
5) 千葉弘文,大塚満雄,工藤和実,他:肺障害・線維化に関わる肺細胞とその産生分子―血清中にSP-Dに対する自己抗体を認めたDermatomyositisの一例.分子呼吸器病11:83-87,2007
6) Takahashi H, Fujishima T, Koba H, et al:Serum surfactant proteins A and D as prognostic factors in idiopathic pulmonary fibrosis and their relationship to disease extent. Am J Respir Crit Care Med162:1109-1114,2000
7) 高橋弘毅,白鳥正典:間質性肺炎とSP-A,SP-D.日本肺サーファクタント・界面医学会雑誌40:99-102,2009
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