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文献概要
増刊号 免疫反応と臨床検査2010 VI 血液 B 血栓・止血関連マーカー
4 凝固マーカー
著者: 島津千里1
所属機関: 1帝京大学医学部附属病院中央検査部
ページ範囲:P.962 - P.965
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外傷,炎症性サイトカインなどにより活性化された単球や血管内皮細胞から組織因子が発現し,活性化第VII因子(FVIIa)との結合により血液凝固系カスケードが活性化され,最終的にプロトロンビンがトロンビンに変換される.トロンビンはフィブリノゲン(メモ)を限定分解してフィブリンに転換する(図).この際,プロトロンビンからフラグメント1+2が遊離する.生成されたトロンビンは阻害因子であるアンチトロンビンと速やかに複合体を形成して,トロンビン・アンチトロンビン複合体(thrombin-antithrombin complex,TAT)が形成され不活化される.
活性化トロンビンは酵素作用によってフィブリノゲンAα鎖を切断し,フィブリノゲンN末端に存在するフィブリノペプチドA(fibrinopeptide A,FPA)を放出してdesAA-fibrinとなる.次いでBβ鎖N末端も切断され,フィブリノペプチドB(fibrinopeptide B,FPB)を放出し,desAABB-fibrinとなる.FPAとFPBが切断されて残った分子がフィブリンモノマー(fibrin monomer,FM)である.FMは血中では単体で存在することは少ないといわれ,大部分はフィブリノゲン2分子と結合した可溶性フィブリン(soluble fibrin,SF)として循環する.また,SF同士が重合したり,フィブロネクチンなどと複合体を形成し,可溶性フィブリンモノマー複合体(soluble fibrin monomer complex,SFMC)として血中を循環する.さらに,活性化第XIII因子の作用によりγ鎖間に架橋が形成され,安定化フィブリン(フィブリン血栓)となる.FMは線溶活性因子であるプラスミンによって分解されたFMとも複合体が形成されるなどの報告もあり,凝固亢進病態におけるSF/SFMCの血中存在様式は複雑であり,いまだ十分に解明されていない.
外傷,炎症性サイトカインなどにより活性化された単球や血管内皮細胞から組織因子が発現し,活性化第VII因子(FVIIa)との結合により血液凝固系カスケードが活性化され,最終的にプロトロンビンがトロンビンに変換される.トロンビンはフィブリノゲン(メモ)を限定分解してフィブリンに転換する(図).この際,プロトロンビンからフラグメント1+2が遊離する.生成されたトロンビンは阻害因子であるアンチトロンビンと速やかに複合体を形成して,トロンビン・アンチトロンビン複合体(thrombin-antithrombin complex,TAT)が形成され不活化される.
活性化トロンビンは酵素作用によってフィブリノゲンAα鎖を切断し,フィブリノゲンN末端に存在するフィブリノペプチドA(fibrinopeptide A,FPA)を放出してdesAA-fibrinとなる.次いでBβ鎖N末端も切断され,フィブリノペプチドB(fibrinopeptide B,FPB)を放出し,desAABB-fibrinとなる.FPAとFPBが切断されて残った分子がフィブリンモノマー(fibrin monomer,FM)である.FMは血中では単体で存在することは少ないといわれ,大部分はフィブリノゲン2分子と結合した可溶性フィブリン(soluble fibrin,SF)として循環する.また,SF同士が重合したり,フィブロネクチンなどと複合体を形成し,可溶性フィブリンモノマー複合体(soluble fibrin monomer complex,SFMC)として血中を循環する.さらに,活性化第XIII因子の作用によりγ鎖間に架橋が形成され,安定化フィブリン(フィブリン血栓)となる.FMは線溶活性因子であるプラスミンによって分解されたFMとも複合体が形成されるなどの報告もあり,凝固亢進病態におけるSF/SFMCの血中存在様式は複雑であり,いまだ十分に解明されていない.
参考文献
1) 島津千里,宮澤幸久:可溶性フィブリン・可溶性フィブリンモノマー複合体の測定.検査と技術32:401-408,2004
2) 家子正裕:可溶性フィブリンモノマー複合体の測定試薬の特性.検査と技術36:430-433,2008
3) 細田雅子,永野貞明,大石毅,他:新たな可溶性フィブリン測定試薬(ナノピアSF)の評価.日本検査血液学会雑誌10:202-210,2009
4) 島津千里:TAT,PIC.検査と技術28(増刊号):893-896,2000
5) 増田詩織,武島千華,内藤昭智,他:小型自動免疫測定装置パスファーストを用いたトロンビン・アンチトロンビンIII複合体測定の検討.医療と検査機器・試薬31:405-410,2008
6) 木原孝則,永井博,森井卓郎,他:LPIA-A700を用いたTR-FIA(時間分解蛍光免疫測定法)によるTAT測定の基礎的検討.臨床検査機器・試薬23:355-359,2000
TAT試薬シスメックス社内資料
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