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文献詳細

雑誌文献

検査と技術38巻10号

2010年09月発行

文献概要

増刊号 免疫反応と臨床検査2010 VII 一般

1 便潜血

著者: 岡田茂治1

所属機関: 1埼玉県立がんセンター検査技術部

ページ範囲:P.974 - P.977

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便潜血とは

 国語辞書『大辞泉』によると,潜血とは「肉眼では見分けられない微量の出血.糞便(ふんべん)中に混入している消化管からの出血をいうことが多い.生化学的な検査によって知ることができる.潜出血」となっている.すなわち,生化学的(化学法)に測定される消化管からの出血である.われわれは便潜血検査には化学法〔グアヤックFOBT(fecal occult blood test)〕と免疫法(fecal immunochemical test,FIT)があることを認識しているが,呼称や記載に当たって混同して使用していることが多く,時に検査意義や偽陽性の違いから結果の解釈のうえで臨床に混乱を招いてしまうことがある.便潜血ではなく便中ヘモグロビン検査,便中トランスフェリン検査などと正確に名称を使用しなければならない(メモ1).

 便中ヘモグロビンは,便中の出血を測定し,大腸癌などを検出する検査として広く利用されている.対策型検診として実施されている大腸がん検診の一次スクリーニング検査として実施され,年間約717万人(2007年度)が受診している社会的にも重要な役割をもつ検査である(メモ2).便中トランスフェリンは安定性が高いという利点をもち,便ヘモグロビンと同時に測定することで大腸癌のスクリーニングとしての有効性が高まることが報告されている.また,便中ラクトフェリンは好中球の特殊顆粒から放出され,炎症性の消化器疾患と大腸癌で上昇することが報告されている.

参考文献

1) 岡田茂治,櫻林郁之介:便中ヘモグロビン測定.Medical Technology33:733-739,2005
2) 岡田茂治,野津聡:一線診療のための臨床検査.検査と技術33:1321-1322,2005
3) 大野康寛,入口陽介:大腸がん検診におけるヘモグロビン・トランスフェリン・ラクトフェリン同時測定の有用性の検討.日本消化器がん検診学会雑誌48:208-216,2010

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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