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増刊号 免疫反応と臨床検査2010 VII 一般
4 尿沈渣における免疫染色の活用
著者: 横山貴1 堀田茂2
所属機関: 1東京女子医科大学病院中央検査部一般検査課 2東京女子医科大学腎臓病総合医療センター病理検査室
ページ範囲:P.985 - P.989
文献購入ページに移動尿中に自然剝離した細胞や成分を観察することで,腎・泌尿器にとどまらず全身疾患の診断と治療に役立つ情報を提供できるのが尿沈渣検査である.それは,心臓より拍出された血液が,全身をめぐり腎臓の糸球体で濾過されるため,全身で起きている病態および疾患を尿が反映しているからである.実際,現場では変形赤血球,単球,尿細管上皮細胞による糸球体腎炎などの活動性,白血球,細菌,真菌による尿路感染症の有無や異型細胞の検出による尿路系腫瘍の有無を把握できることはいうまでもないが,ヘモジデリン顆粒の出現により,溶血性疾患の発見や心臓の弁置換術後のフォローアップ,さらにビリルビン尿およびビリルビンに黄染した尿細管上皮細胞を観察することで肝障害を把握することも可能である.したがって,尿中に出現しうるすべての細胞や成分には無意味なものが一つもなく,必ず原因あっての出現であり,それを観察することは生体を管理することにおいて重要な役割を果たすと考える.最近では形態学的観察による細胞や成分の由来や出現量の報告だけではなく,免疫学的手法を用いて質的および機能的な情報を提供することも可能となって,ますます臨床的意義の高い検査となっている.
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