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文献詳細

雑誌文献

検査と技術38巻10号

2010年09月発行

文献概要

増刊号 免疫反応と臨床検査2010 VIII 病理・細胞診

1 細胞診

著者: 加戸伸明1 伊藤仁1

所属機関: 1東海大学医学部付属病院病理検査技術科

ページ範囲:P.992 - P.994

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 細胞診領域における免疫反応を利用した検査法として,免疫細胞化学染色が挙げられる.本法は組織標本に対する酵素標識抗体法(免疫組織化学染色)として開発され,組織診分野において確定診断や治療法の選択に必要不可欠な検査となっている.現在では細胞診領域にも積極的に応用されるようになり,“免疫細胞化学染色”として用いられているが,この手法を用いることにより,診断上有用なさまざまな抗原が観察可能となり,主に良性と悪性の鑑別,組織型推定などに応用され,パパニコロウ(Papanicolaou)染色による形態学的診断に客観性,正確性を与えている.

 しかしながら,本法は細胞診材料を用いるため,組織標本とは異なる配慮が必要となる.まず本法に用いる細胞診標本は,架橋反応を利用したホルマリン固定とは異なり,95%エタノールによる脱水凝固固定を用いていることを認識する必要がある.また,検出する抗原や用いる抗体によっては,エタノール固定状態での長期間保存により,抗原性が減弱することが知られており,注意を要する.

参考文献

1) 伊藤仁,宮嶋葉子,長村義之,他:迅速細胞転写法の検討.日本臨床細胞学会雑誌41:302-303,2002
2) 亀井敏昭,岡村宏,渋田秀美:中皮腫の細胞診断―細胞学的特徴と免疫組織化学.亀井敏昭,石川雄一,三浦溥太郎,他(編著):アスベストと中皮腫.篠原出版新社,pp256-266,2007
3) 伊藤仁,長村義之:胸腹水の細胞診に役立つ免疫組織化学.病理と臨床20:714-718,2002
4) Hanley KZ, Facik MS, Bourne PA, et al :Utility of anti-L523S antibody in the diagnosis of benign and malignant serous effusions. Cancer Cytopathol114:49-56,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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