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生体防御システムにおけるリンパ球の分化と活性化機構
著者: 渋谷和子1
所属機関: 1筑波大学大学院人間総合科学研究科基礎医学系免疫学
ページ範囲:P.809 - P.809
文献購入ページに移動 免疫系は,からだに侵入してきたウイルスや細菌などの病原微生物に対して攻撃をしかけ排除する生体防御システムである.一方,健常人の免疫系は,自分の細胞や組織を攻撃することはない.それでは,どうして免疫系は自分を攻撃せずに,病原微生物に対しては攻撃をしかけることができるのだろう.その秘密は獲得免疫系の中心的細胞であるリンパ球の分化と活性化機構にある.リンパ球が未熟な細胞から成熟細胞に分化する過程で,自己を攻撃するリンパ球は排除されてしまう.つまり,自己に対して無害なリンパ球だけが成熟できるのである.一方,成熟リンパ球は病原微生物ごとに特異的に見分けることができる抗原受容体を発現している.この受容体が病原微生物を認識すると,リンパ球に活性化シグナルが入る.このようにして,リンパ球は侵入してきた病原微生物に特異的な免疫応答を引き起こすことができるのである.昨今の研究により,リンパ球の分化や活性化の機構が明らかになるほど,その精緻さには感嘆するばかりである.
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